スマブラ Abandon World 5「炎の紋章を掲げて」 |
炎の紋章を掲げし剣士、マルス、ロイ、アイク、ルフレもまた、
この荒廃した世界に飛ばされてしまっていた。
「なんだ、この化け物は」
「まさか、ゾンビかな? でも、この世界のものは見た事がないし……」
「とにかく、早めに片付けるぞ」
「了解!」
マルスがファルシオンを振るい、ゾンビ犬を斬りつけた後、ロイが蛆の塊を封印の剣で切り裂く。
蛆の塊が動くのを見て若干不快な気分になったが、
アイクは噴火で自分の周囲にいたゾンビ犬と蛆の塊を攻撃する。
「後方支援は任せて! サンダー!」
ルフレの掛け声と共に蛆の塊に向かって雷を放ち、ダメージと共に麻痺させる。
「よし、相手の動きは止めたぞ!」
「う……」
蠢く蛆の塊を見てロイは若干不快な気分になるが、
蛆の塊は先ほどアイクが与えた技が効いたのか燃焼によるダメージを受ける。
「ぐっ」
一体のゾンビ犬がアイクに噛みついて怪我を負わせる。
「大丈夫かい、アイク!」
「ああ」
「ブレイザー!」
「居合い斬り!」
ロイとアイクが剣を振ってゾンビ犬と蛆の塊を切り裂く。
ゾンビ犬は死ぬ直前に内臓が飛び出したが、斬り合いに慣れている四人は平気だったようだ。
「エルウィンド!」
ルフレの風魔法が蛆の塊とゾンビ犬を切り刻むと、
蛆の塊は弾け飛んで死に、ゾンビ犬も吹っ飛ばされる。
その隙にマルスがゾンビ犬に突っ込んでシールドブレイカーを繰り出し、
アイクがとどめに叩き割りを繰り出すとゾンビ犬は倒れたのだった。
「よし、これで終わったな」
「……」
「どうしたんだい、ロイ」
灰色の空を見るロイに、マルスは声をかける。
「……なんか、暗いね……。太陽が、全然出ていない……」
「……ああ。まるで、あの時のようだ」
「あの時?」
アイクが言う「あの時」とは、彼の元いた世界で起きた戦争の終盤の事である。
数百年前に交わされた約束が破られた事で、
女神の裁きにより多くの人々が石化され、空も灰色に染まってしまったという。
「この世界のように魔物は現れなかったが……それでも、さらに状況が過酷になった事は言うまでもない」
「だから、この世界から早く脱出しなくちゃね。……死ぬかも、しれないから」
「了解!」
その頃、ピット達は……。
「アスティマによれば、この辺に仲間がいるらしいのですが……」
「全然気配がしないね……。一体、どこにいるんだろう……」
この世界に散らばった仲間を探していたのだが、その仲間の気配はなく、
ただ瓦礫と死体が広がるのみだった。
「酷いよ……どうしてこうなったの? どうして死ななきゃいけなかったの?」
リュカがこの惨状を見て驚きと悲しみの混じった声で呟く。
多くの別れを経験したリュカでさえ、この光景には心が耐えられないようだ。
そして、いつか自分のあの一員になってしまったら……と思うとリュカはさらに心が痛んだ。
「リュカ、まだ絶望というわけじゃないよ」
「ネス君?」
だが、そんなリュカを励ましたのは、ネスやシュルクなどの「仲間」だった。
「僕達が拠点にしている『ラストホープ』って、どういう意味だか分かるかい?」
「えっと……最後の、希望?」
「そう。希望はまだこの世界に残っている。
だから僕達は、それを守るためにも、この世界を生き抜かなきゃいけないんだ」
「だからリュカ、一人で抱え込まずにたまには仲間に頼ってくださいね。
あ、頼りすぎるのはいけませんよ?」
「……みんな、ありがとう……」
仲間の励ましの言葉を聞いたリュカの心の中に、小さな芽が出てきた気がした。
ネス達もまた、それが消えないようにリュカを守ってやる事にした。
「それで、どっちに行けばいいんだろう?」
「さあ……北も南も西も東も分からないし、その辺をうろうろしているしかないよね」
「仕方のない事だが、そうするしかあるまい」
「アイク……」
マルス、ロイ、アイク、ルフレが歩いていると、何人かの人影とすれ違った。
「誰だ? 生存者がいるのか?」
アイクがその人影に向かって走り出すと、ネス、リュカ、シュルク、ピット、パルテナと出会った。
「あんたは……」
「あ、あなたはアイク……さん? まさか……」
「俺を疑うのか?」
「えっと……その、好きな食べ物は?」
「肉だ」
「よかった……」
リュカは、彼が本物のアイクかどうか疑ったが、質問にちゃんと答えられたようで安心する。
「あ、もしかして君達もここに来たのかい?」
マルス、ロイ、ルフレも何とかアイクに追い付いたようだ。
「うん。変な生き物に襲われたけど、何とか追い払ったんだ」
「あ、それは僕達も同じだよ」
「お互い災難だったねぇ……」
「だねぇ……」
はぁ、とシュルクとロイは溜息をついた。
「とにかく、仲間と合流できてよかったね」
「さぁ、早くラストホープに戻……」
「待って!」
仲間と再会できて喜ぶ9人だったが、ふと、どこかから不気味な音が聞こえてくる。
それを聞いたルフレはいきなり大声を出した。
「ルフレ、どうしたの?」
「変な音が聞こえてくる……みんな、気を付けて」
「う、うん」
皆はルフレの指示通りにそれぞれの武器を構える。
不気味な音は徐々に大きくなっていき、やがてその音が止むと、突然空を突き破って何かが現れた。
それは、タールのような目と濁った鱗を持ち、巨大な牙が生えた魚の姿をした魔物だった。
「な、なんだこれは!?」
「まずいよ……」
その魔物を見たルフレの表情に焦りが生じる。
「どこがまずいの、みんなで戦えば……」
「僕達はあの蛆や犬と戦って消耗している。だから、その状態で戦っても負ける。
まずは拠点に戻って態勢を整え直そう」
「流石だな、ルフレの目に狂いはない。皆、ルフレの指示通りに撤退するぞ。
ここで無駄死にするわけにはいかない」
「……わ、分かったよ!」
名軍師と呼ばれるルフレの分析により、ネス達はひとまずその魔物から逃げる事にした。
だが、その魔物が簡単に彼らを逃がしてくれるわけがなく、口から濁った水を吐いて攻撃してきた。
「反射盤!」
「サンダー!」
「「PKファイアー!」」
「パルテナの神弓!」
その水をルフレが雷魔法で打ち消しつつ、
パルテナの反射盤で守られたネスやリュカ、ピットも飛び道具で牽制する。
遠距離攻撃ができないマルス、ロイ、アイク、シュルクは、彼らに守られながら走り出した。
「下手に相手を刺激すると反撃を受ける。だから、相手の攻撃を打ち消す以外の攻撃はしないでくれ」
「はい!」
「僕達の目的は、あくまでも生き残る事だからね」
「はぁ、はぁ……ここまで来れば大丈夫かな?」
ある程度走った後、その魔物の姿は跡形もなくなっていた。
「ああ。あいつが追ってくる事は、もうないだろう」
「……そう、だね。安心した……よ」
ロイはあの戦いと走りすぎたのが影響したか、疲労が限界に達して倒れてしまう。
「ロイ!?」
「死んではいないよ。疲れてるだけ。
ただ、自力では動けないみたいだから、誰かが運ぶしかないみたいだ」
「俺が運ぼう」
「頼むよ」
アイクは、倒れたロイを持ち上げると、彼の腕を肩に組ませて運んだ。
「……」
「アイク〜、大丈夫だよね〜?」
「ああ、これくらい軽い」
「やっと着いたぁ〜〜〜〜」
ピット達は、ようやくラストホープに着いた。
アイクはよっこらせとロイをアスティマの目の前に降ろす。
「お疲れ様です。これで集まった仲間は9人ですね」
「マリオ達やこれから来るピーチ達も入れれば、14人以上になるよ」
そう、これでこのラストホープに集まった仲間は全体のおよそ1/4になる。
「それにしてもこの子、かなりお疲れのようですね。私の術で、何とかするしかありませんね……」
アスティマが杖を振ると、倒れていたロイに光の粒子が降り注ぎ、
それがロイを包み込むと彼はゆっくりと起き上がった。
「ん……っ、ここは?」
「お疲れ様です。ここは、ラストホープですよ」
「ラストホープ? という事は……」
「ええ、無事に帰ってきたのですよ」
「や……やったぁ!!」
無事に拠点に辿り着けた事で喜ぶロイ。
「僕、生きてるんだよね? ね?」
「え、ええ……もちろん生きていますよ?」
「うんうん、それだけで十分だよ。ああ、死んでいなくてよかった……忘れられてなくてよかった……」
「えっ、どういう意味ですか?」
ロイの発言にアスティマは驚いた。
実は彼、若干天然ボケなところがあるのだ。
「ロイはDXで初登場しましたがXで消え、Forで色変え同名キャラも出ましたがDLCで復活したのですよ」
「あら、そうですか」
パルテナのメタ発言を聞いたアスティマはすぐに納得したようだ。
「さて、残るはマリオさまやリンクさま、カービィさまやピカチュウさまだけですね」
「ええ、彼らはピーチ達を助けに向かっているところでしょう」
「でも、あんな化け物を見て大丈夫なのかな?」
「多分大丈夫だと思います……多分」
「……多分っていうのがちょっと不安だけど……じゃあ、とりあえず待つ事にしよう」
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今回はファイアーエムブレム組が登場します。 | ||
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