PokemonSM CosmosEpic 39:しまクイーンのハプウ
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ナッシーアイランドにて、目的の笛を入手したヨウカ達は海の民の村に戻ってきた。

そこでは彼女達の予測通り、村での情報収集を終えたツキトとセイルの姿があった。

ヨウカとリーリエが帰還して笛を手に入れたことを聞いたツキトとセイルは、自分たちが集めた情報をそのまま彼女達に告げた。

 

「え、ハプウちゃんが前のしまキングのお孫さんだったの?」

「ああ・・・ってか、あの子と知り合いだったのか?」

「はい、何度かお会いしたことがあります。

ヨウカさんのように、島々を渡って旅をしていると仰ってました。

でもまさか、そんなハプウさんがこの島の出身で、しかもしまキングのお孫さんだったなんて」

「それで、そのハプウちゃんが後を継ごうとしているんだよね?」

「村長の話では、そういうことになっている。

そして、彼女がどこにいるのかも聞いている」

 

そうはなした後で4人は村から少し離れた場所にあるポニ荒磯に移動した。

その奥には彼岸の遺跡が存在した。

 

「彼岸の遺跡・・・」

「ここには、ポニ島の守り神である、カプ・レヒレがいるという。

そして遺跡を流れる水にはポケモンに生命力を与える力があると伝えられている」

「生命力を与える・・・」

 

リーリエはそういうと、リュックの中から小さなポケモンを出す。

そこから出てきたポケモンはぷわぷわと浮いており、リーリエはそれに手を添える形で水のそばに持ってくる。

 

「・・・ほしぐも、ちゃん・・・」

「・・・」

 

そう声をかけるが、ほしぐもちゃんはやはり動かないし鳴きもしない。

 

「・・・動かない・・・な・・・」

「・・・はい・・・」

「・・・リーリエちゃん・・・」

 

効果がないことがわかったリーリエは、ほしぐもちゃんをリュックに入れると振り返る。

 

「・・・さぁ、この遺跡の中にいるはずのハプウさんのところへ向かいましょう!」

「・・・うん!」

 

リーリエはそれでも、前を向こうとしている。

そんな彼女の思いに答えるべく、ヨウカ達は彼岸の遺跡に足を踏み入れた。

 

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「リッキー!」

「サンキュ、カイリキー」

 

途中にあった大きな岩をカイリキーに手伝ってもらってどかして、奥の部屋へ続く穴を発見した。

 

「この奥が祭壇だな」

「ああ・・・各島にある遺跡と同じ作りだから間違いないだろう」

 

像をみつめて、セイルは一度黙り込んだ。

 

「どうしたんですか?」

「いや・・・1年前に出会った学者見習いのポケモントレーナーのことを思い出しただけだ。

各遺跡を調べて、その歴史や守り神について勉強していたな。

ポケモントレーナーとしても、優秀だった」

「へぇ、そんな人がおったんやぁ」

 

そうセイルは、水色の髪に紫色の瞳を持つ学者見習いのポケモントレーナーを思い出しながら語る。

途中でもカロス地方からきたこと、そこでメガシンカという特別な力についても勉強していたということを聞いたと語っていると、祭壇にたどり着いた。

 

「・・・あ、あの後ろ姿、ハプウさんじゃないですか?」

「あ、ほんまや」

 

黒い団子状の髪に紫の頭巾をかぶった小柄な少女という、その後ろ姿は間違いなくハプウだ。

声をかけようとしたヨウカ達だったが、祭壇から光が現れたのに気づき思わず黙った。

 

「・・・あれって・・・」

 

光の中から現れたのは、Zリングだ。

ハプウは片膝を折ったままそれを受け取り、そのリングを手の中で包み込み目をつむりながら頭を深く下げた。

 

「確かに、授かりました。

・・・ありがとうございます。

このハプウ・・・しまクイーンとしてポケモンのため、人のため。

がんばります」

 

そう呟くと光は消え、ハプウは顔を上げて振り返ると、そこにヨウカ達がいたことに気付く。

 

「おお、そなたたちか!」

「やほーっ!」

「お久しぶりです、ハプウさん!」

 

最初はヨウカに対し笑いかけていたハプウだったが、リーリエをみて驚いた。

 

「そなたはリーリエなのか!?

その姿は・・・」

「ええ、私・・・これからやらなければならないことがあって・・・がんばろうって決めてこの姿になったんです!」

「ふむふむ、なるほどのう・・・」

 

今のリーリエの姿をみてハプウは少し考え出すと、笑みを浮かべながらうなずいた。

 

「リーリエががんばろうとするその姿は・・・つまり!

がんばリーリエというところじゃな!」

「「「え?」」」

「はいっ!」

 

ハプウの発言にヨウカとツキトとセイルはポカンとし、リーリエはにっこりと笑っている。

どうツッコミを入れるのが正解なのか、わからなくなった。

そんな状況になりつつもヨウカ達は、ハプウを訪ねてきた理由とこれまでのいきさつを話した。

ハプウは、伝説のポケモンに大きく関係のある場所を祖父から聞いていて知っているらしい、自分の知る限りのことを彼女達に話した。

 

「うむ・・・それはおそらく、ポニの大渓谷を越えた先にあると伝えられる祭壇のことかのう」

「祭壇・・・」

「太陽の笛と月の笛、その音色を捧げる者達の前に姿を現す・・・そう伝えられておる」

「その笛なら、ここにあるよ」

 

そう言ってヨウカとリーリエはそれぞれの笛をハプウに見せる。

太陽の笛と月の笛の双方を確認したハプウはうむ、と頷き伝説のポケモンに会う条件がそろっていることを認めた。

 

「だが、その大渓谷を上りたいならば、しまクイーンとなったわらわと戦って勝つしかないのじゃ。

それが、このポニ島に伝わるオキテじゃ」

「いきなり大試練?」

「そうなるのう・・・して、その資格があるのは」

 

ハプウはヨウカの前にたつと、彼女に向かって言った。

 

「ヨウカ、そなたじゃよ」

「・・・あたしが・・・」

「そうじゃ。

そなたがわらわと戦い、そして勝つことができればポニの大渓谷を越えて、その頂上にある祭壇へむかうことができる。

ヨウカにその資格が与えられれば、同行するそなた達も、同じように祭壇へゆけるじゃろう」

 

すべてを話したところで、ハプウはヨウカと向かい合う。

 

「大試練、受けるかえ?」

「・・・うん、やるよ・・・やらせて!

あたしは、立ち止まりたくはないから・・・すすみたい!」

「うむ、よい目じゃ!」

 

ヨウカのまっすぐな瞳をみたハプウは頷く。

 

「よし、ではその大試練を行うために・・・ポニの大渓谷前に移動しようかの」

「はい!」

 

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5人はバンバドロの力を借りつつ、ポニの大渓谷前に到着した。

そこにはポケモンバトルをするのには十分すぎるくらいの広さがあり、そこにはポケモンバトルの審判役であろうサポーターの人もいた。

 

「準備はいいかの!」

「はいっ!」

「・・・このハプウ、しまクイーンとして最初の勝負!

決して手は抜かず、本気で参ろうぞ!」

 

互いに位置に着き、バトルを始める体制に入っていった。

リーリエやツキト、セイルは案内された観戦席に座る。

 

「わらわのポケモンはこのバンバドロと、こやつらじゃ!

ゆけ、トリトドン、ワルビアル!」

 

ハプウが出してきたのはバンバドロ、トリトドン、ワルビアルの3匹。

 

「あたしはこの子達だよ!

ミミちゃん、カリちゃん、タツくん!」

 

ヨウカが出したのはミミッキュのミミちゃん、ラランテスのカリちゃん、そしてボーマンダのタツくんの3匹だった。

この大試練のルールは、使用ポケモンは3匹ずつで、一匹ずつ戦うというものだ。

交換はできず、勝ち星の多い方が勝ちというものだ。

 

「まずはワルビアル、ゆくがよい!」

「おねがい、カリちゃん!」

 

ハプウが最初に出してきたのはワルビアル、ヨウカが出したのはカリちゃんだった。

 

「相性で言えばラランテスが有利だが、あのワルビアルもかなり鍛えられているポケモンだ・・・油断はできないぞ」

「ああ・・・それでも、勝負しなきゃならねぇ」

「・・・」

 

3人が試合に完全に目を向けたところで、双方のポケモンは動き出した。

ワルビアルが率先して動きドラゴンクローを食らわせようとしたが、カリちゃんはそれをリーフブレードで迎え撃ち相殺、追撃としてシザークロスで効果抜群のダメージを与える。

 

「そこで今度は、ローキック!」

「させぬぞ、ワルビアル、かわしてかみくだく攻撃!」

 

ローキックはかわされかみくだくの一撃を受けて投げ飛ばされ、そこにストーンエッジを食らわせてきた。

その一撃を受けてもカリちゃんは倒れず、追撃で飛んできたドラゴンテールをシザークロスで受け止め、一気に接近してリーフブレードを放つ。

 

「ワルビアル、ぶんまわす!」

「耐えて、もう一度、リーフブレード!」

 

ぶんまわす攻撃に耐え抜いたカリちゃんはリーフブレードで接近するがそれはつばめがえしに相殺される。

 

「そこだ、はなふぶき!」

「なんとっ・・・!」

 

だがそれでもカリちゃんは耐え抜き、そこではなふぶきを放ってワルビアルに大ダメージを与えた。

その一撃の威力は大きく、ワルビアルは戦闘不能となった。

 

「ワルビアル戦闘不能、ラランテスの勝ち!」

「よしっ、まずは一勝!

ナイスだよ、カリちゃん!」

 

ヨウカはカリちゃんとハイタッチをして喜び、一方のハプウもワルビアルによくがんばったなと声をかけつつボールに戻した。

 

「やはり・・・そなたは強い・・・妾が相手に相応しいのう・・・!」

 

彼女の強さは想定はしていたが、今のヨウカの強さはそれ以上だ。

そう思ったハプウは、この勝負を続けようと次のポケモンを出してきた。

 

「次はそなたじゃ、トリトドン!」

「こっちは、タツくんだよ!」

 

トリトドンとタツくんが向かい合うと、まず動き出したのは元々動きの早いタツくんであり、ドラゴンクローで攻撃した。

トリトドンはその一撃に耐えつつみずのはどうを連発してタツくんをとらえようとするが、タツくんはそれを大空を旋回することで回避した。

 

「そのまま、つばめがえし!」

 

そのつばめがえしも、トリトドンにヒットした。

 

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タツくんは相手の攻撃を交わしつつ、着実にダメージを与えていっている。

 

「よーし・・・いいよいいよーっ!」

「ふっ・・・」

「・・・?」

 

そのときハプウが何かをたくらんでいるような、余裕がある笑みを浮かべていたのに気づき、セイルは疑問を抱く。

彼女はなにをしようとしているのかを伺っていると、ハプウは早速行動に移していた。

 

「これでも、余裕をもち続けられるかえ?」

「えっ?」

「じこさいせいじゃ、トリトドン!」

 

そこでトリトドンが使ったのは、じこさいせいという己の体力を一気に回復させる技。

それによりトリトドンは、タツくんから受けたダメージを全てなかったことにした。

 

「回復された・・・!」

「どうじゃ?」

「・・・だったらもっかい、やるだけだよ!

タツくん、ドラゴンダイブ!」

「まもるで防ぐんじゃ!」

 

ドラゴンタイプの大技も、まもるで防がれる。

そこにハプウは容赦なく攻撃してたたみかけにいった。

 

「ストーンエッジ!」

「かわして!」

「させぬっ!」

 

その岩技から逃げ切ろうとしたタツくんだったが、ストーンエッジは決してタツくんを逃しはせずヒットしていき、タツくんに大ダメージを与えた。

 

「タツくん・・・!」

「トリトドン、そこじゃ!

れいとうビームッ!」

「あぁ・・・!」

 

動きが鈍ったところに、効果抜群のれいとうビームを受けて、タツくんは空中で凍り付いた。

地面に落ちたとき氷は割れたが、そのときタツくんはすでに力尽きていた。

 

「ボーマンダ戦闘不能、トリトドンの勝ち!」

「・・・一対一!」

「これで勝敗がわかなくなっちまったな・・・ん?」

 

2試合目の結果がでたとき、ツキトはリーリエに気付いて彼女に声をかけた。

 

「どうかしたか、リーリエ?」

「・・・あ、その・・・。

2人とも・・・ホントに全力を出していて・・・私、つい魅入ってしまいました」

「・・・そうか、そうだよな・・・オレ達も、同じ気持ちだ」

「ああ・・・」

 

この勝負から、目を離したくない。

試合を観戦している3人が同じ気持ちを抱いた頃、最後の勝負が始まろうとしていた。

 

「さぁ、これが最後の勝負じゃ!

恨みっこなしで、ゼンリョクでぶつかろうぞ!」

「オーケィ!」

「ゆけぃ、バンバドロ!」

「おねがい、ミミちゃん!」

 

ハプウはここで切り札といえるバンバドロを出してきて、ヨウカも最後の一匹であるミミちゃんをそこにだした。

 

「バンバドロ、めざめるパワー!」

「ミミちゃん、シャドーボール!」

 

まずはめざめるパワーとシャドーボールが衝突し、それによって砂煙が舞い上がる。

その砂煙の中からバンバドロは突っ込んできて10まんばりきで攻撃してきたが、ミミちゃんのばけのかわがそれを防ぎ、そこからじゃれつく攻撃を食らわした。

 

「さらに、ウッドハンマーッ!」

 

そこでさらに、相性のいいくさタイプの技でダメージを与え、休む間もなく次の技を食らわせていく。

 

「今度はシャドークローッ!」

 

激しい連続攻撃を与え、手応えは感じた。

だが、バンバドロはそれでも平気な顔をしていて立っている。

 

「えっ・・・」

「ふふ、これがバンバドロの強みよ・・・!」

 

シャドークローとウッドハンマーに耐えられている理由。

それはバンバドロの特性であるじきゅうりょくによるものだった。

 

「妾のバンバドロは体力自慢ゆえ、柔い攻撃では倒せぬぞ!

さぁバンバドロ、反撃じゃ・・・ヘビーボンバーッ!」

「かわして、ミミちゃん!」

 

ここで攻撃に繰り出したバンバドロの攻撃を一度は回避したが、次に飛んできたがんせきふうじによって動きを制限されてしまう。

 

「そこでもう一度ヘビーボンバーッ!」

「こうなったら・・・シャドークローでむかえうって!」

 

シャドークローとヘビーボンバーが衝突し、技のエネルギーが発散されていく。

 

「ほう、意地でも攻撃をするか」

「もちろん!」

「じゃが、これは防げぬ!

ゆくぞ、バンバドロ!」

「ブゥォォォォォ!!」

 

そう言ってハプウは右腕を掲げ、そこにあるZリングを輝かせた。

 

「ここで、Zリングを使うか・・・!」

「全ての世界を支える大地よ!

今、我らに力を与えたまえ!

ここに、力を示したまえ!」

 

ハプウがそう叫ぶと、バンバドロにジメンZの力が集まっていく。

 

「ライジンググランドオーバーッ!」

 

その声とともに繰り出されるじめんのZワザが、襲いかかる。

なんとか回避しようとしたミミちゃんであったが、その力に飲まれていった。

あたりに、激しい土煙が舞い上がる。

 

「ミミちゃん!」

 

ヨウカは、その技を食らった自分のポケモンにたいし叫ぶ。

その声に答えるように、ミミちゃんは土煙から姿をあらわした。

 

「キュゥゥゥ・・・!」

「ミミちゃん!」

「ほぉ・・・こやつのZワザに耐えるとはやるのう」

 

決して無傷ではないが、あの一撃でも倒れないミミちゃんをハプウは評価する。

 

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だが、それで勝負を止めるわけにはいかないので、とどめの一撃を指示した。

 

「じゃが、これでしまいじゃ!

ヘビーボンバーッ!」

「これをくらうと、まずい!」

 

効果抜群のはがね技をここでうけるのは危険だ、だがヨウカとミミちゃんは直前でそれを回避し、技を指示した。

 

「そこで、おにび!」

 

正面からおにびをくらった影響で、バンバドロはじわじわと体力を奪われていった。

これではじきゅうりょくで防御があがることなく、ダメージを受け続ける。

 

「なんと・・・!」

「そこでマジカルシャイン!」

 

そこで放ったのはフェアリーのとくしゅ技である、マジカルシャイン。

それによりバンバドロはダメージを受けてさらに怯む。

その怯みによってバンバドロが動けなくなったとき、ヨウカはチャンスだとにらんだ。

 

「今だ!」

 

そう言ってヨウカはZリングを突き出すと、アセロラに教わったゴーストの動きを見せる。

 

「あたしと、ポケモンたちのゼンリョク・・・このZワザに全て賭ける!

無限暗夜への誘い!」

「キィユゥウゥゥァァァア!!」

「ブォォォォ!!」

「バンバドロッ!」

 

ゴーストのZワザ、無限暗夜への誘い。

黒い手が伸びてきてバンバドロを包み込むと、その黒いオーラでバンバドロを押しつぶすように縮んだ後、爆発を起こした。

 

「・・・!」

 

黒いオーラが消滅しそこからバンバドロは姿を見せたときは、すでにバンバドロは戦闘不能となっていた。

それをみた試練サポーターは、審判をくだす。

 

「バンバドロ、戦闘不能!

ミミッキュの勝ち!

よってこの試合・・・2勝したヨウカの勝ちとみなします!」

「・・・わぁ・・・!」

 

自分が勝ったと知ったヨウカは驚きながらも笑みを浮かべ、ミミちゃんに駆け寄る。

ミミちゃんも、ヨウカに気付くと彼女の腕の中に自分から飛び込んでいった。

 

「・・・やった、勝てたよミミちゃん!

すべてあなたのおかげだよー!

ありがとう、ありがとう!」

「・・・キュウ」

「ミミちゃん?」

 

急に動かなくなったので心配したが、戦い疲れて休んで眠っているだけだと知ってヨウカは安堵の笑みを浮かべる。

 

「おめでとうございます、ヨウカさん!」

「ありがと、リーリエちゃん!」

「ああ、ホントに見応えのあるバトルだったぜ・・・お前も強くなってるんだな」

「この試合を見れて、よかったと思う」

「うん・・・ツキトさんと、セイルさんも・・・ありがとっ!」

 

リーリエやツキト、セイルからも賞賛の言葉を受けてヨウカは嬉しくて笑った。

 

「・・・そなたは全力を尽くした、妾も悔いはない・・・よい戦いだったぞ」

「ブルゥ」

 

ハプウもバンバドロを労りつつボールに戻すと、ヨウカの前にたった。

 

「・・・お見事じゃ!

そなたの実力を妾も認めようぞ!」

「ハプウちゃん・・・」

「トレーナーパスを、さしだすがよい」

 

そう言われたのでトレーナーパスを出すと、ハプウはスタンプを押しつつZクリスタルを取り出した。

 

「さ、これは大試練を突破した証のスタンプ・・・そして選別の、ジメンZじゃ」

「・・・ありがとう、ハプウちゃん!」

 

そのZクリスタルを握りしめると、ハプウは彼女達がこれから目指す場所と、そこでしようとしていることを思い出してそれに対する自分の気持ちを打ち明けた。

 

「・・・伝説のポケモンに力を与える儀式・・・妾は、そなたたちなら出来ると信じておる。

だから本気で勝負をしたかったのじゃ。

そなたも、それに応じてくれて・・・感謝しておる。

妾はこれからもしまクイーンとして、頑張れそうじゃ」

「ハプウちゃん・・・」

「ハプウさん、ありがとうございます」

 

ヨウカとリーリエをみつめたハプウは頷き、そして言った。

 

「・・・気をつけていきなされよ!

さっきも言ったが・・・妾は・・・そなた達を信じておるからな!」

「「はいっ!」」

 

そうして4人はハプウに見送られながら、ポニの大渓谷を進んでいった。

そこに残ったハプウは手を組み合わせ、祈るのだった。

 

「・・・守り神様・・・。

月と太陽に歩み寄ろうとする資格を手にしたあのもの達をどうか、お守りくだされ・・・」

 

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