スマブラ Abandon World 28「遺伝子覚醒」 |
謎の建物の奥へ進んでいくマリオ、リンク、カービィ、ピカチュウ、ルイージ、ドクター。
途中で魔物と遭遇しながらも、彼らは軽くあしらっていく。
「おい、食糧の方は大丈夫かよ」
「ちょっと、減ってきちゃっているね」
この建物はかなり広かったためか、
持ってきた水や食糧は突入してからの3分の1まで減ってしまっていた。
「食糧が尽きたら事実上のゲームオーバー。その前に、仲間を見つけて脱出しなくちゃね」
「ああ……」
生命線に気を配りつつ、マリオ達は建物の中を進んでいった。
そして5分後、一際大きなドアの前に辿り着いた。
「ここが、一番奥のようだな」
「ここに仲間がいるのかな……でも、慎重に、慎重に……!」
ルイージは震えながらドアノブに手をかける。
しかし、すぐにドアノブから手を離してしまう。
「ルイージ?」
「や、やっぱり怖いや……」
「どうしたんだよ、ここまで来てまた逃げるのか?」
「……いや! 僕は逃げないよ! 助けを求めてる仲間が、今もこの世界に散らばってるんだから!」
マリオの言葉に、ルイージは勇気を振り絞ってドアノブにもう一度手をかけた。
そして、ルイージがドアを押すと、鈍い音と共に、ドアは開いた。
六人が部屋の中に入って真っ先に見たものは……。
「プリン! ピチュー!」
スマブラメンバーのプリンとピチューが、石化されて檻の中に閉じ込められていた。
二匹が捕らえられている檻の前に立っていたのは、
薄紫色の身体、アメジスト色の瞳、長い尾を持つ、明らかに人間には見えない生物だった。
いでんしポケモン、ミュウツーである。
「お前は……ミュウツー……! よくも、俺の弟をこんな目に遭わせやがったな……!」
ピカチュウがミュウツーを見て歯ぎしりする。
大切な弟のピチューを捕らえたミュウツーに怒りを露わにしたのだ。
だが、ミュウツーは冷静な態度を崩さない。
「この二匹は私が預かった。返してほしければ私と戦い、倒すがいい」
「一応聞いておくが、この建物はハオスが作ったのか?」
「この建物は幻だ」
ピカチュウの言葉に対し、ミュウツーは首を横に振った。
どうやら、この建物はミュウツーが超能力で作った幻影らしい。
だが、幻影でもまるで本物のようだったため、ミュウツーの超能力の強さが伺えた。
「私を倒せばこの建物は消え、この二匹は助かる。……さぁ、来るがいい!」
「「いくぜ!」」
「負けないからね!」
「さて、いきますか」
「僕だって……みんなに後れは取らないよ!」
「いくぞ、ミュウツー!!」
ミュウツーとの戦闘が始まった。
「とおっ!」
「でやっ!」
マリオとリンクがミュウツーに接近して拳や剣で攻撃する。
ドクターも後方からカプセルを投げて攻撃した。
「まさかミュウツーが俺達に敵対するとは思っていなかったぜ」
「私は元からお前達の味方ではない」
ピカチュウの電撃や尻尾はたきを、ミュウツーは超能力で受け流していた。
「だったらハオスって奴に協力してるんだろうなぁ!? 10まんボルト!」
「ふんっ!」
ピカチュウの10まんボルトと、ミュウツーのサイコキネシスがぶつかり合い、衝撃波が起きた。
その衝撃波で五人は吹き飛ばされそうになるが何とか踏みとどまる。
「ミュウツー、ハオスに操られてるなら、僕が正気に戻してあげる!」
そう言ってカービィはミュウツーにハンマーを振り下ろした。
「プリンとピチューを助けなきゃ……絶対に!」
ルイージも隙を突いてミュウツーをねこパンチで攻撃した。
「ぬぅん!」
「うわぁぁぁ!」
しかし、ミュウツーも負けじとサイコキネシスで辺りを吹っ飛ばした。
「私を倒したければ本気で来るがいい」
「当然だ、手加減無しだぜ!」
リンクはフックショットでミュウツーを引き寄せた後、二段斬りを繰り出した。
マリオもファイアボールを放ってミュウツーを牽制した。
「はっ!」
「ぐぉっ!」
ミュウツーはリンクに向かってシャドーボールを放った。
ゆらゆらとした軌道だったため読めず、リンクは盾で防ぐ事ができなかった。
「でやぁっ!」
マリオは高くジャンプした後、ハンマーを振り下ろしてミュウツーを叩き潰した。
「その様子だと、操られているようには見えないな」
「それがどうした」
「だが、お前があいつらを石にした時点で、お前がハオスに操られている事は確定したぜ」
「……」
「だったら俺が取る道は1つ! 10まんボルト!」
「ふんっ」
ピカチュウの言葉にも動じず、ミュウツーはねんりきで電撃を跳ね返す。
「ちっ……」
「説得程度で私を止められると思うな」
「「ダブル・アイスボール!」」
その時、マリオとルイージのアイスボールが飛んできてミュウツーに命中し、下半身が凍り付いた。
「何!?」
「今だよ、カービィ!」
「鬼殺し……火炎ハンマァァァァァァァァァ!!」
そして、カービィがハンマーに炎を纏わせると、勢いよくミュウツーに向かって振り上げた。
ミュウツーはその強烈な威力に耐え切れず、壁に吹っ飛ばされ叩きつけられた。
「ぐ……っ」
「さあ、大人しくピチューとプリンを元に戻せ!」
ピカチュウはミュウツーの胸元に飛び込み叫んだ。
しかし、ミュウツーはまだ余裕な様子だった。
「ピカチュウ……あの技を忘れているぞ……」
「何?」
「じこさいせい!」
「何っ!?」
ミュウツーが精神を集中させると、負っていた傷がみるみるうちに癒えていく。
自分の傷を癒す技、じこさいせいだ。
「言っただろう? 本気で来るがいい、と」
「くそ! もう、全力を出すしかないようだな!
おいみんな、こいつに対する優しさはいらねぇ! とにかく、倒す事に専念するんだ!」
「分かったぜ!」
マリオはハンマーを取り出し、連続でミュウツーを殴りつけた。
「超能力には超能力で対抗するよ!」
カービィはミュウツーのねんりきを吸い込み、エスパーをコピーした。
「サイコキネシス!」
「よげんしゃのみきわめ!」
ミュウツーはサイコキネシスでカービィを浮かそうとしたが、
カービィはそれをテレポートで回避し強烈な衝撃波をミュウツーに叩きつける。
さらにマリオとルイージのファイアボール、ドクターのカプセルが命中し、
ミュウツーが怯んだところにリンクの斬撃が入った。
「悪いのはお前じゃなくてハオスなのは分かってる。
……でも、それで躊躇ってたら、仲間は救えないよな」
「ああ……これもこの世界の摂理だ。弱き者は淘汰され、強き者のみが生き残る」
「でも、俺達は諦めないぜ! 絶対に、この世界を救って、元の世界に戻るんだ!!
せいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そしてリンクの強烈な一撃がミュウツーを捉えた。
「……無駄だ」
……かと思われたが、ミュウツーが超能力でリンクの剣を止め、彼を投げ飛ばした。
「うぁぁぁぁっ!」
「リンク!」
「……っと!」
リンクは壁に当たる直前で体勢を整え直し、もう一度ミュウツーに突っ込んで斬りかかった。
「ぐぅっ!」
今度は命中し、ミュウツーは大きくよろめいた。
「まさか、この私を追い詰めるとはな。……ならば、私の切り札を見せてやろう。
行くぞ! サイコブレイク!!」
ミュウツーの周囲から、闇の力が放たれた。
今までとは比べ物にならないほどの威力の激しい波動が、マリオ達を襲う。
マリオ達は全員、シールドを張ってサイコブレイクを防ごうとしたが、
あまりの威力にシールドに罅が入る。
「もう、ダメだ……!」
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ピカチュウの叫び声と同時に、電気の塊と化したピカチュウがミュウツーに体当たりした。
そう、ピカチュウがボルテッカーを使ったのだ。
さらに、彼の「皆を助けたい」という思いが、ボルテッカーの威力を最大まで強めたのだ。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ピカチュウの体当たりがミュウツーに命中すると、眩しい閃光と共に大爆発が起こった。
「……私の……負けだ」
ボロボロになったミュウツーは、ようやく負けを認めた。
すると、プリンとピチューが光り出し、二匹が入っていた檻は粉々に砕け散った。
それと同時に、建物も一瞬にして消滅し、マリオ達はいつの間にか何もない場所に立っていた。
「ぷりっ!?」
「ぴちゅ!?」
「プリン! ピチュー!」
ようやく仲間を助け出した六人は、真っ先に二匹の元へ飛び込んでいった。
ピカチュウは落ちていく弟のピチューをぎゅっと抱きかかえる。
「怖くなかったか? 大丈夫だったか?」
「うぅ……だ、だいじょぶでちゅ……ぴかにいちゃんもだいじょぶだったでちゅ……?」
「ああ、苦戦したが何とかやっつけたぜ……」
「ぴかにいちゃん……ありがとうでちゅ……。ぴちゅ、これからもずっといっしょでちゅ……」
「うんうん、二匹が再会できてよかったね〜」
「よかったな」
ピカチュウとピチューの仲睦まじい様子を、マリオとルイージは微笑ましく見ていた。
「……ようやく解放されたか」
しばらくして、ミュウツーがゆっくり起き上がる。
「解放された? どういう事だ? ミュウツー、事情を話してくれないか」
「ああ」
ミュウツーは、ここに飛ばされてからの事情を話した。
「突然、未知の世界に来てしまった私は、この世界から脱出する方法を模索していた。
だが、何の手がかりもなく、ただ時間だけが過ぎていった。
そんな時、私は青い髪の女と出会った。
何か知っているかと彼女に聞いたら、突然、彼女の目が光り、私の意識が一瞬飛んだ」
「まさか、お前まであいつに洗脳されたのか」
やはり、ミュウツーもハオスに操られてしまったのか、と思うマリオ。
「お前の言った通り、私は彼女の術で操られた。
だが、意識ははっきりしていて、自分が何をしていたかも分かっていた。
それでも、自分を止められなかったのだ。
そして、それを止めてくれたのがお前達だった……というわけだ」
要するに、意識はあるが体が勝手に動いている状態だったらしい。
流石はミュウツー、精神力である程度対抗できた。
「それじゃ、仲間も見つかったし、そろそろラストホープに戻ろうぜ」
「む……ラストホープ、だと?」
「あ〜、ミュウツーには説明してなかったな」
マリオはミュウツーにラストホープについて説明すると、彼は納得したかのように頷いた。
「なるほど。そこに行ってほしいのか」
「ああ、でも結構遠いぜ?」
「心配はするな、皆、私を中心に手を掴め」
「? なんでしゅか?」
「……テレポート!」
ミュウツーがそう叫ぶと、一行の姿は一瞬にして消えた。
その消えた先を、女性がじっと見つめていた事を知らずに。
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タイトルで連想するポケモン、だ〜れだ? といっても、タグでばらしていますが。 | ||
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