スマブラ Abandon World 32「悲しき再会」 |
シーク、ゲッコウガ、ネス、リュカ、ピーチは、ラストホープに物資を運ぶため冒険に出た。
「できる事なら、ハオスに奪われた物資も取り戻したいところだ」
以前、シーク達はハオスに物資を奪われてしまった事がある。
それを取り戻したいとシークが思っているのは、それと共に大切なゼルダを失ったためだ。
「君が身を挺して仲間を守った、その行動と気持ちは分かった。それでも……僕は、君を取り戻したい」
「シーク……」
「よく分かんないけど、いなくなった仲間を連れ戻したいんだね?」
「ああ」
リュカの言葉に、シークは静かに頷いた。
「じゃあ、僕達も手伝ってあげるよ」
「仲間を失う事は誰でも辛い事だからな」
この目的は、一人で達成する事は魔物や環境のせいもあって極めて難しい。
ネス達はシークの背負う荷物を軽くするために、シークの力になろうとしている。
「みんな、僕のために?」
「そうよ、シークはゼルダが大切なんでしょ? その気持ちは同じ姫の私も分かるわ」
「ピーチ……」
「大丈夫よ、信じていれば願いは絶対に叶うわ! だから、一人で落ち込んだりしないで。ね?」
今のピーチの表情と声は、落ち込むシークを元気づけるのに十分だった。
「……ありがとう」
彼女に元気づけられたシークは、覆面で隠れて見えないが、少し微笑んでいた。
「さ、物資を探すわよ!」
「ああ!」
スマブラメンバーが飛ばされたこの世界は荒廃していて、まともな物資の数は非常に少ない。
この状況を打開するためには、未知の領域「アンノウンリージョン」に行かなければならない。
アンノウンリージョンはまだ調査が進んでおらず、貴重な物資が残っている可能性が高く、
ここを調査する事が生き残る確率を上げられる。
だが、当然未調査故に何が起こるか分からず、さらに強力な魔物などと遭遇する可能性も高く、
慎重に調査する必要があるのだ。
「水は、どこにあるのだ……」
みずタイプを持つゲッコウガが、アンノウンリージョンのどこに水があるかを探し出す。
時間はかかるが、彼なら他のメンバーよりも早めに見つけられるだろう。
(見つかるのか?)
シークが見守っていると、
「見つけたぞ!」
「ホント!?」
ゲッコウガはまだ飲めそうな水を発見した。
量は微々たるものだったが、それでも水を発見できたのは大きかった。
「この水は、瓶の中に入れておこう」
そう言って、ゲッコウガはシークが持ってきた瓶の中に水を入れた。
「よし、幸先の良いスタートだね」
リュカが喜んでいると、ゾンビ犬が四体現れた。
「グルルルル……」
「わ、ゾンビ犬!?」
「双蛇!」
「かげうち!」
ネスに襲い掛かるゾンビ犬を、シークは二度蹴り、ゲッコウガはかげうちで攻撃する。
「PKフラッシュ!」
ネスも、光を放ってゾンビ犬を攻撃した。
「ボクだって! PKファイアー!」
リュカがネスに続くように、手から炎を放ってゾンビ犬を焼き払う。
獣は火に弱く、その上ゾンビなので火がよく効き、結果的に大ダメージを与えられた。
「みんな、こんな奴に負けるんじゃないわよ!」
「ああ!」
「いたっ!」
「きゃぁぁぁ!」
ゾンビ犬は一斉に群がり、ピーチ達に噛みついてきた。
ピーチはあの時のようにドレスが食いちぎられるのを防ぐため、巧みに噛みつき攻撃をかわしていった。
それでも攻撃が来る時は、キノピオを盾にして攻撃を防いだ。
「なんか、キノピオが可哀想……」
「何か言ったかしら? ネス」
「な、な〜んにも?」
「ふっ!」
ゲッコウガがみずしゅりけんを放ってゾンビ犬を撃破する。
「それっ! PKフリーズ!」
「双蛇!」
リュカがゾンビ犬をPKフリーズで凍らせた後、シークが二度蹴りでゾンビ犬を氷ごと粉砕した。
「たたみがえし」
ゾンビ犬が襲ってくるが、ゲッコウガは畳を返して攻撃を防ぎ、ハイドロポンプでゾンビ犬を一掃する。
だが、ゾンビ犬は倒れずにシーク達を襲い続ける。
「くっ、しぶといな!」
「不死系の敵はしぶといのが取り柄だからな」
「ったく、あなた達は諦めが悪いのね!」
ピーチの発言に、この場にいた誰もが「お前が言うな」と思ったが、
口に出すとボコられるため何も言わなかった。
「これでも……食らいなさい!」
ピーチはゴルフクラブを取り出し、ゾンビ犬をボールのように飛ばした。
「跳魚!」
シークは宙に浮いたゾンビ犬に飛び蹴りを食らわせ、大ダメージを与える。
「ネス君、今だよ!」
「うん!」
「「ダブルPKフラッシュ!!」」
そして、ネスとリュカが激しい光を手から出し、ゾンビ犬に向けて放つと大爆発を起こした。
その大爆発が治まると、ゾンビ犬は全て跡形もなく消え去っていた。
「やったね!」
「うん!」
ネスとリュカは連携PSIが決まってハイタッチする。
シーク、ゲッコウガ、ピーチも、いい連携技だったと頷いた。
「じゃ、調査再開ね!」
こうして、ゾンビ犬を撃破した一行は、アンノウンリージョンの調査を再開した。
「これは……食糧か?」
ゲッコウガが廃墟の中を調査していると、いくつか干し肉を発見した。
品質は悪かったものの、無いよりはマシだ。
「こっちには毛布があったよ」
「なんか、変なのが出てきた……」
ネスとリュカは、毛布と、袋に包まれたゼリー状の物体を発見した。
「あら、まだ飲めそうな水みたいね」
ピーチは、少し濁っているがまだ飲めそうな水を発見した。
「これは……缶詰だ!」
シークは、コンビーフの缶詰を発見した。
この世界で缶詰は貴重であるため、大きな発見と言える。
廃墟の調査が終わり、五人は手に入れた物資を見せ合う。
「今日、ここで見つかったのはこれだけか」
「この廃墟で見つかった中ではね」
「初めてにしては、結構見つかったね」
この世界においては貴重な物資を見つける事ができた五人。
数は少なかったが、見つかっただけでこの世界で生存する確率が上がった。
「後は、これを持ち帰るだけだな。みんな、なくすんじゃな……!?」
シークが物資をラストホープに持ち帰ろうとした瞬間、光の矢が物資目掛けて飛んできた。
「サイマグネット!」
光の矢は物資に命中する直前でネスがサイマグネットで吸収した。
その光の矢を飛ばした先には、女性が立っていた。
「ゼルダ!」
「えっ、ゼルダ!?」
「本物の!?」
茶髪に薄紫と白を基調としたドレス……そこにいたのは、間違いなくゼルダだった。
しかし、彼女は様々な種類の魔物を従えるようにして立っていた。
ゼルダはこんな醜悪な魔物を使役するとは思えない……そう思ったシークが様子を見ると、
彼女が何者かに操られている事に気付いた。
「ハオス様にたてつく者には死を与えよう」
「……!」
ゼルダの口から「ハオス」という言葉が出たため、シークの表情が変わった。
「ゼルダ! 僕の事が分からないのか!?」
「貴様もハオス様に逆らうつもりか? ならば、今すぐここで死ぬがよい!」
「やめろ、ゼルダ!」
シークは、ゼルダがけしかけてきた魔物を体術や暗器で次々と撃破した。
「ねぇ、シーク……どうして、ゼルダがいきなり僕達を攻撃したの?
ゼルダはそんな事しないはずなのに……」
「ゼルダは今……ハオスに操られているんだ」
「ええーーーーーっ!?」
ゼルダの現状を知ったネスは驚き、大声を上げた。
「シーク……どうすれば、ゼルダを正気に戻せると思うの?」
「普通に操られているだけなら、戦って勝てばいいと思うが……術者はハオス、
そう単純な事が通用するわけがないだろう。
それでも、僅かな可能性に賭けるしかない。……そうするしか、僕達にできる事はないんだ」
無駄だと思うが、ゼルダをハオスから解放したい。
シークはそのために、ゼルダと戦う事にした。
「……シーク、俺達は手伝ってはいけないか?」
「これは僕の戦いだからな。他の人が邪魔をしてはいけない」
「それでも、魔物と戦うくらいならいいよね?」
ネスの言葉に、ああ、と頷くシーク。
元は自分と同じだったゼルダは、「自分」自身が解放するべきだと思っているからだ。
「ゲッコウガ、ネス、リュカ、ピーチはゼルダが使役する魔物と戦え。
操られているゼルダの相手は僕がしよう」
「「「「了解!」」」」
「さあ、死を恐れないのならかかってくるがいい!」
操られたゼルダと、彼女が使役する魔物、グールとの戦いが始まった。
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ゼルダ姫との再会。しかし……。 | ||
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