東方気安神 第二話・一冥土道中記 |
「一冥土」という名前は不吉だ。
それは魔女にとっても同じ事である。
だから私はカタカナで「ヒメイト」と名を記すようにしている。
私が魔女である事を顕示し、目立ちたがるのはちょっとした神様に対する反抗心である。
魔女は魔女らしく窯(かま)の薬を茹でているという偏見が私はとても気に入らない。
ほうきに乗るというのもしかりである。
だから、私は光の魔法を使って常時目立つようにしている。
それはまるで飛行機雲のように他者の目には映るだろう。
私は自由自在に空を飛ぶが、あえて直線的に飛ぶからである。
私はその日の正午、西方に向かっていた。
幻想郷の果て、極東からやって来た私は時折ヒメイトという魔法の花火で作った字を打ち上げながら、地上から見れば海のように見えるであろう湖を超える。
私は空高くを散歩するかのように歩いている。
私の足からは歩くごとに光の痕跡が出てとても綺麗だ。
歩いていると、雲のようなもくもくした場所が見えて来る。
その場所まで歩いて行くと、ふわふわした感触が体を包む。
気持ちが良いはずなのに何故かそこを早く抜けたいという気持ちが込み上げてくる。
何故か?それはよく分からない。
ただ、嫌な予感がする。
それは自分の名前にも良く似た不吉さだった。
だからこそ、青空が懐かしくなり軽快なステップで上へ上へと昇っていく。
その果てにあるものに近づいていく。
青空で無ければならなかったそれは・・・天国だった。
ヒメイトが見たそれはそうとしか言いようがない風景だった・・・・。
”安神郷”それがその天国の名前である。
ター・ラー、その悪魔は幻想郷に舞い降りた。
もう千年も前の事になろう。
ター・ラーはまるで神にでもなったかのように、聖典と称したある本をある女、名を新 生命(あたら せいめい)に書かせた。
その本の名前は荒愛聖典。栫家と新家の特別性とあり方について説いた本である。
生命は栫家・新家を主導出来る立場にあり、幻想郷を混乱の渦中に巻き込めると思ったからである。
栫家・新家は特殊な能力に長け、妖怪をも倒し得る能力に満ち満ちていたから、ター・ラーにとって利用価値は十二分にあった。
妖怪と手を組ませ、人間をター・ラーの奴隷にまで貶めようと思ったのである。
ところが、生命はこの聖典を曲解し、人里と特に名家であるペーパー家と融和路線をとった。
神話の如く怒ったター・ラーは千年後に女の栫 長命(かこい ちょうめい)、つまり魔女である彼女に儀式によって栫家の女にアッ・シャヰターンの化生を産ませ、新家の女には自身の化生を産ませた。
その悪魔の子がそれぞれ、栫 蓮カ(かこい れんか)・新 聖カ(あたら せいか)である。
その子らを使って幻想郷を征服しようというのである。
その子らは今年、齢(よわい)十五歳になる。
その子らは栫家・新家では神の子と呼ばれ、祀り上げられつつある。
果たして幻想郷の命運はいかに!?
ましも「これで大悪魔ター・ラーについての話は終わりですね。」
ソラネ「楽しかったです。ありがとうございます。」
ま「それじゃあ、また今度会いましょう。」
ソラネは死んでから金髪になったその長い髪を落ち着かなそうにいじりながら、席を立つ。
まるで劇場にいたかのような錯覚(ソラネは劇場を覚えている)を覚える。
そこは四角の部屋なのに。
また、暇を持て余す生活が始まる。
催し物のように行われるソラネを暇から助け出すような話は、またいつになるだろう。
この時もう、ヒメイトはすぐ近くまで来ていた。
説明 | ||
死んでしまったソラネは暇をしている。 龍神様の元では満ち足りた生活だけがあり、矛盾すらない。 そういった天国にソラネは住んでいる。 その天国の名前は”安神郷”。 今代の龍神様の支配する郷だ。 |
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