スマブラ Abandon World 45「破滅に挑む」
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「く……ぅっ!」

 光が完全に止むと、マリオの目の前にはアスティマが倒れていた。

「アスティマ、大丈夫か? アスティマ!」

「わた……し、は……」

 アスティマは、ぼんやりとした様子だった。

 しかし身体はまだ光の粒にはなっておらず、死んでいない事が分かる。

「俺達の声が聞こえるか?」

「目は見えるのか?」

「……マリオ、さま……? それに、リンク、さま、も……。

 ……私は、今まで何をしていたのでしょうか……」

「?」

 アスティマの言葉に、全員はきょとんとした。

「……私は、ハオスを倒して……気が付いたら、ここにいたんです」

「もしかして、お前もハオスに操られていたのか?」

「……いえ、確かにあなた達を攻撃したのは私自身の意思でした。

 ハオスを倒した瞬間に、彼女が掴みかかってきて……私に、自分の意思を流し込んだのです。

 ハオスの考えが絶対の救済と思い込んだ私は、

 世界を救うために、ピュアカタストロフを呼ぼうとしたのです」

「そういう事だったのか……」

 アスティマは、淡々と真実を話した。

 彼女の様子を見たカービィは、はっとなってこう言った。

「あ、そうだ! みんな、急いで復活を止めないと! あそこの空を元に戻せば……」

 カービィがホバリングをして空の裂け目に向かっていった、その時。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「カービィ!」

 突然、裂け目から物凄い勢いの突風が吹き、カービィは吹っ飛ばされた。

 空を見ながらアスティマは杖を持ち呟く。

「もう、既に門は開かれたのです。世界はこれより終焉を迎え、再生するでしょう。

 ……しかし、今からあなた達に1時間の猶予を与えます」

「猶予?」

「ピュアカタストロフはあと1時間でこの世界に現れます。

 その間に、スマブラメンバーを集め、6つのチームに分けなさい」

「どういう事だ」

「ピュアカタストロフは本体の他に、それを支える4つの守護者……

 怒りの火・妬みの水・諦めの風・貪りの土が存在します。

 したがって、これらを撃破すればピュアカタストロフは弱まります。

 また、ピュアカタストロフが出現すると同時にこの世界を魔物が蹂躙します。

 その魔物を討つチームも必要です」

 アスティマの表情に、迷いは微塵も感じられなかった。

 ハオスとの戦いが終わり、吹っ切れたからだろう。

「それが、私からの最後の願いです。どうか、必ずこの世界を純粋な破滅から救ってください!

 私は元創造神ですが、これくらいしかできる事はありませんので……」

「……分かった」

 これが、アスティマが最後にスマブラメンバーにお願いした事らしい。

 マリオは彼女の意志を受け取り、頷いた後、仲間と共にラストホープに戻った。

 

「……というわけだ。これはこの世界を救うためにも重要な事なんだ。みんな、真剣に聞いてくれ」

 マリオが神妙な面持ちで皆にそう話す。

 これには、いつもは軽い性格のソニックやジュニアも真面目に聞いている。

「俺達は、アスティマが呼んだピュアカタストロフを倒し、世界を救ってほしいと最後の依頼を受けた。

 今からやるのは、そのチーム分けだ」

「じゃ、まずはぼくがピュアカタストロフを倒す!」

「待て、ピュアカタストロフはとんでもなく強い。無闇に突っ込んでいけば返り討ちに遭う。

 だから、冷静に考えて、それぞれに戦力を割いて戦おう」

「わ、分かった」

 

 相談の結果、チーム分けはこのようになった。

 ピュアカタストロフ本体:

 マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウ、ソニック、クラウド

 

 怒りの火:

 ピーチ、ゼルダ、サムス、フォックス、ドクター、リトルマック、ピット、パルテナ、ベヨネッタ

 

 妬みの水:

 ファルコン、マルス、ロイ、アイク、ルフレ、デデデ、トゥーンリンク、スネーク、

 ロゼッタ、ダックハント

 

 諦めの風:

 ドンキーコング、ディディーコング、こどもリンク、ロート、ゲッコウガ、ルキナ、

 ブラックピット、ロックマン、パックマン

 

 貪りの土:

 ネス、リュカ、ウォッチ、リィン、ルカリオ、ファルコ、オリマー、シュルク、リュウ、カムイ

 

 防衛:

 ルイージ、ヨッシー、アイスクライマー、シーク、ピチュー、プリン、メタナイト、りょう、

 ソレイユ、リュンヌ、クッパ、ジュニア、ワリオ、ミュウツー、ガノンドロフ

 

「防衛チームが結構多いな。なんでだ?」

「大勢でピュアカタストロフと渡り合ったら、その余波で世界がどうなるか分からない。

 それに、大ボスを倒してもこの世界がボロボロになったら意味がないだろ?

 だから、ピュアカタストロフには6〜9人で立ち向かうんだ」

「そうなのかー」

「そういう事だ。じゃあ、準備しろよ!」

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 そして、決戦前。

 それぞれのメンバーは、最後の戦いに向けて決意を固めていた。

 

 怒りの火と戦うメンバー達。

「いよいよ、この世界を救うための最後の戦いが始まるわね」

「私達の行動に、この世界と私達の世界の命運がかかっています」

「だから、絶対に気を抜いちゃ駄目よ。必ず、勝って無事に元の世界に帰るのよ」

「どんな不可能も可能にする。それが『奇跡』というものなのよ」

「ふふ、私達が最後に見せる奇跡は、どういうものになるのかしらね?」

 ピーチ、ゼルダ、サムス、パルテナ、ベヨネッタの五人はしっかりと決意をした。

 彼女達は、ただ月のように隠れているだけでなく、太陽のように前で光り輝きたいと思っていた。

「オレ達が戦うのは、ピュアカタストロフを守っているオプションに過ぎない」

「だが、こいつらを倒せば、本体に挑むマリオ達が戦いやすくなる」

「この戦い、絶対に勝って見せます! 勝たなければ、本当に世界は終わりますから!」

 フォックス、リトルマック、ピットは、最高のホンキ度の如き表情で怒りの火に挑む事を決めた。

「本当は、戦いたくなんてなかったよ。だけど、みんなの様子を見て、僕は決めたよ。

 ……僕は、世界とみんなのために戦う!」

 ドクターは、戦うのは専門ではなかったが、皆に尽力するために彼も共に戦う決意をした。

 

 妬みの水と戦うメンバー達。

「皆、怖気づいてはいけないゾイ!

 これは、この世界と元の世界に関わるとっても重要な戦いなんだゾイ!」

 デデデが前に立って皆を鼓舞する。

 今の彼の威厳は、「自称」大王ではない、「本物の」大王のそれだった。

 いつにないデデデの真剣な態度に、他のメンバーも同じように真剣になった。

「……ルフレ、この戦いは……」

「おや、ロイ。僕を信用していないのかい? 僕の指示に、今まで間違いはなかったかい?」

「なかった気がする」

 ルフレは多くの戦いを勝利に導いてきたのか、軍師として絶対の自信を持っている。

 そんな彼は、少し自信が持てないロイを勇気づけようとしてこう言った。

「気がするじゃない、『なかった』。仲間を信じる心、それが勝利への一番の考えさ」

「そうだね。ああ、僕とした事が弱気になってしまったよ。

 なんで一番大事な事を思い浮かばなかったんだろう」

「僕も、君と一緒に戦うよ。ロイ、君は僕達の中で一番若いからね」

「あんたとは故郷の世界が違うが、同じ炎の紋章を掲げる者として、俺も最後まで付き合おう」

「ありがとう、マルス、アイク!」

 マルスとアイクも、ロイと共に戦う事を決意した。

 

「かなりの大役を引き受けてしまったな! 世界を救うという目標、絶対に達成しよう!」

「ああ。俺達がこの世界を背負う形で戦うんだ。その責任はとても重い、気を抜くな」

 ファルコンは明るい口調ながらも、その眼には強い光が宿っていた。

 スネークは腕を組み、静かに話した。

「責任、かぁ。ボク達は世界を救えるのかなぁ?」

「あまり重く考えるのも良くないぞ。責任は、お前一人で背負い込むものではない」

「ロゼッタさん」

「ばうばう! ばばうばう、ばうばう!」

「あ、ハントもボク達と一緒に戦ってくれるんだね。ありがとう。一緒に頑張ろうね」

「ばう!」

 トゥーンリンク、ロゼッタ、ダックハントも彼らの様子を見て、共に破滅と戦う事を決めた。

 

 諦めの風と戦うメンバー達。

「なんだかよく分かんねぇけど分かったぜ!」

 頭が良くないドンキーコングは、この重大な事を深く考えなかった。

「ドンキーのパワーさえあれば、この世界を狙う奴もやっつけられるよね!」

「ボク達も手伝ってあげるから、安心して諦めの風と戦えるよ!」

「ウホウホーーー!! 終わったら後でバナナを食うぞーーー!!」

 ディディーコングとこどもリンクも彼を応援した。

 ドンキーコングは二人の応援によりさらに明るくなった。

「トルトゥ、フィオーレ、ブレイズ。俺を信じて、大きな敵に立ち向かうんだ」

 ロートは、自分が持っている三匹のポケモンにそう言った。

 彼自身は普通の人間であり、戦う力はないが、ポケモン達を信じる心と判断力はある。

 そのため、彼にできる事は、信じたポケモンを諦めの風にぶつける事だった。

「ボク達だって」

「破滅には負けないよ!」

 異世界から来た存在、ロックマンとパックマンがお互い腕をぶつけ合う。

 かつてない危機でありながらも明るい二人は、その場にいるメンバーに光を与えた。

「ゲッコウガさん、ブラピさん……私と、最後まで一緒に戦ってください。

 私一人だけでは、戦えないんです」

「忍は裏切るべからず。最後まで付き合おう」

「まぁ、ここまで来たからには、逃げるわけにはいかねぇしな! ってブラピじゃねぇよ」

「二人とも、ありがとうございます。私もその期待に応えるべく、この剣を振るいます!」

 そう言って、ルキナは裏剣ファルシオンを掲げた。

 ドンキーコング、ディディーコング、ロート、ロックマン、パックマンは彼女を見て歓声を上げた。

 ゲッコウガも、顔には出していないがルキナの決意を見届けていた。

 

 貪りの土と戦うメンバー達。

「ネス君……」

「リュカ! 僕と一緒なら、どんな困難も乗り越えられるよ!」

 ネスは、リュカの肩に手を置いた。

 親友として、これがリュカにかけられる声だとネスは思った。

「ありがとう、ネス君。ボクも、ネス君の期待に応えられるように頑張るよ」

「一緒に頑張ろうね!」

「……うん!」

 そう言って、ネスとリュカは友情の握手をした。

「感じる……感じるぞ……凄まじい波動が!」

「この世界を蹂躙しようとしている、邪なる波導が来る……!」

「リュウ、ルカリオ」

「だが、お前達と私の波導は、決してあの波導に負けはしない!」

「俺はこの戦いから逃げない。無様に逃げて生き延びるよりは、勇敢に戦って散った方がいい!」

「二人とも凄いね。……よし、僕も」

 リュウとルカリオの気迫を見たシュルクは、静かに((未来視|ビジョン))を発動する。

 それは、自分達が貪りの土に勇敢に立ち向かっている姿だった。

「スゴイデスネ……シュルクサン、ミライガミエルナンテ」

「コレナラ、アンシンデキマスネ」

 感心するウォッチとリィンに、シュルクは未来視を解いてこう言った。

「僕がさっき見た光景は、絶対じゃない。

 ちょっとした幸運や不運で、未来はいくらでも変わってしまうのさ」

「ソウデスカ……」

「まぁ、占いだと思ってればいいよ。

 もしも悪いものが見えたら、それは事前に防ぐ事ができるって意味なんだよ」

「「ヨクワカリマシタ〜」」

 この力で多くの危機を救ったからこそ言えるシュルクの言葉に、ウォッチとリィンは納得した。

「ファルコさん、オリマーさん。こんな大役を任されて、私は大丈夫でしょうか?」

「何言ってんだよ、それは俺だって同じだぜ?」

「君はまだ若い。その命を散らすわけにはいかない。だから、私達のような大人がいる」

「ビビって逃げたらそれこそ恥だ。お前はちゃんと、前だけ見てろよ!」

「はいっ!」

 ファルコの応援に、カムイは元気づけられた。

 当の彼は「なんでこんな奴の応援をしたのか」と、軽く毒づいていたという。

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 この世界の防衛を担当するメンバー達。

「ぴちゅ、ちょっとこわいでちゅ」

「ぷりんもでしゅ」

「大丈夫だよ、二匹とも。僕がついているから」

 ルイージはプリンとピチューを優しく撫でた。

「僕は、兄さんみたいに勇気はあまりない。だけど、ここにいるみんなを守る、という信念は持っている。

 確かにこの世界は一度終わった。だけどまだ完全には終わっていない。

 僕達が目指すのは、空しいハッピーエンドじゃない! 最高の、トゥルーエンドだ!!」

「おお〜〜〜!!」

 あの臆病なルイージが、勇気をもって皆の先頭に立った。

 それだけで、ここにいるメンバーは驚いた……が、これも彼の信念なのだと何も言えなかった。

「この戦いが終わったら、い〜っぱいご飯を食べましょうね〜」

「ナナ! この世界は絶対に守ろうね!」

「ええ! そのためにはポポも頑張りなさいよ!」

「これ以上、悲劇は起こってほしくない……だから、僕達は戦う!」

「我々が簡単に破滅を受け入れるほど弱くない事をここで証明してみせる」

「僕のスローライフを守るためにも、あいつをやっつけなくちゃね!」

「夫婦揃って完全勝利を目指しましょう、リュンヌ」

「ああ……そして、愛しているよ、ソレイユ」

「こんな侵略者などに、我輩の世界を明け渡すつもりなど微塵もないのだ!」

「ないのだー!」

「……やれるだけ、やるか」

「オレ様のパワーでピュアカタストロフなんかボッコボコにしてやるぜ!」

 ヨッシー、アイスクライマー、メタナイト、りょう、ソレイユ、リュンヌ、クッパ、

 ジュニア、ミュウツー、ワリオも、そんなルイージについていく事を決めた。

 

 そして、ピュアカタストロフに挑むメンバー達。

「これは俺の走る場所を守る戦いなんだよな。

 ……しかし、こればかりは真剣にやらないと、最悪の結末になってしまうよな」

 ソニックは今まで何度も、自分の気の赴くままに走り、結果的に何度も世界を救ってきた。

 なので、今回も、自分の場所を守るためにいつも通りに行こうと思っていたが、

 皆の様子を見て自分もそれに合わせた。

 

 ふと、クラウドはピカチュウが震えているのを感じて彼にこう言った。

「……どうした、ピカチュウ。震えているのか?」

「何言ってんだよ、武者震いだっつーの」

「僕、これからももっともっといっぱいみんなと遊びたいし、ご飯だっていっぱい食べたい。

 だから、絶対に諦めない! この世界も元の世界も終わらせない!!」

「終わりはいつか必ず来るものだが、いつ来るのかは終わりに任せればいいだろ?

 誰かの勝手な都合で世界が終わってたまるかよ!」

「純粋なる破滅は、人の悪意が生み出したもの。

 俺達がここに呼ばれた事が、この世界を救ったと信じたい!」

 この宇宙が永遠に破滅と再生を繰り返す……そんな地獄は、もうたくさんだ。

 マリオ、リンク、カービィ、そしてピカチュウは、

 己の信念とアスティマの言葉を信じ、ピュアカタストロフを倒す決意をした。

「Actions speak louder than words. うじうじ悩んでる暇があったら、走って成果を上げようぜ」

「この決戦なんかに、興味な……くないね」

 異世界から来たソニックとクラウドも、彼らの言葉に乗るのだった。

 

「……来ました!」

 そして、全員が決意表明をしたのと同時に、開いた門から“それ”は現れた。

 純粋なる破滅――ピュアカタストロフと、それを生み出した悪しき4つの心、

 怒りの火、妬みの水、諦めの風、貪りの土が現れた。

 彼らを倒せば、この世界は本当に、救われる。

 

「みんな、これがホントにホントの最終決戦だ……行くぞ!!」

 争いの世界の、過去・現在・未来を賭けた、最後の戦いが、始まった。

説明
ラスボスの前座となります。
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