魔法少女・哀と神父・昴 |
「ゆらぎ」
それは、この世に或る負の感情が形になって妖魔と化したもの。取り込まれれば人間も「ゆらぎ」と化し、妖魔となる。その妖魔を駆逐すべく異世界よりやってきたのは、勇者でもヒーローでもない「魔法少女」である。
灰原哀がこの世界にやってきたのは、冷たい雨がふりしきる夜だった。哀がやってきたのは前任者の魔法少女がゆらぎに敗れたという報告をうけ、引継ぎの為に数週間前この世界にやってきた。本来、魔法少女はある程度の年齢になっていなければゆらぎとわたりあう能力を身に着けることができない。だが、灰原哀は若年というより幼女であった。彼女がどうしてここにきたのか?それは、前任者の魔法少女である灰原哀の姉の話までさかのぼる。
前任者の魔法少女は明美。彼女は異世界では名前の通った才能があった女性であった。その彼女が人間に恋をしてしまった。魔法少女にはあるまじき禁忌を犯してしまったのだ。明美は男の為にゆらぎと戦っていた。妹として、魔法少女の一人として、明美に何度か忠告したことだろう。
人間はとても弱い種族であり短命だ。ゆらぎに取り込まれやすく、貪欲で狡猾なものがたくさんいる。魔法少女はその純粋さに心を痛め、人間は欲望さ己を恥じることになるだろう。そして、過去多くの禁忌を犯した魔法少女がそうであるように明美はきっとゆらぎと化した男によって殺されてしまう。
明美はそんな妹に困ったように微笑みながら「大丈夫よ。あの人は大丈夫」そういった。「彼はFBIといって、秩序を護る仕事をしている人なの。強い人なの。だから、きっと大丈夫」
姉はゆらぎとの最後の戦いにでたという。それが終われば魔法少女を引退するつもりだと言っていた。けれど…それは叶うことがなかった。
この世界のゆらぎは異世界にはない能力をもつことができる。時により擬態し、人間の模倣をすることができる。人間の負の感情を媒体にして形を成し、人間を喰らう妖魔だ。彼女の恋した男は、妖魔に蝕まれていた。
優しかった姉が死んだ。
姉が守れなかった世界は、妹に受け継ぐのが順当だと異世界では判断した。けれど、「魔法少女が犯した禁忌」をずっと見逃していた妹に罰を与えようという判断もあった。明美の妹である宮野志保は魔法少女としての能力は残されたまま、姉が犯す禁忌…すなわち人間の男に恋をすることができない体にされてしまい、そして名前は灰原哀と替えられたのである。
哀が身を寄せたのは、明美の知人であった阿笠博士という壮年の男性の屋敷だ。
そこで哀は阿笠の親戚の子として暮らしながら、夜はゆらぎと戦う魔法少女として戦う二重生活をはじめたのだ。
そんな生活が続くと哀の周りにも何人かの知人ができた。クラスメイトの子供達。隣の家に住まう工藤有希子…そして…沖矢昴。
明らかに禍々しい雰囲気をまといながら自分の前に飄々と現れた沖矢昴は近所の教会に赴任してきた神父である。
哀は知っている。彼が何者か、彼の中にいるものがなんであるのか…
けれど、沖矢は哀を気に入っているように胡散臭い笑顔を浮かべながら、毎日、それこそ時間があるときはしょっちゅう阿笠邸にやってきていた。
「哀くん、どうしてそこまで昴さんを嫌っておるのかね」阿笠が見かねて訊ねたことがある。そんなときは必ずこういった。「あの人、ずっと笑っているじゃない。何考えてるのかわからないわ。怖いのよ」
沖矢が発する妖気は紛れもなく、ゆらぎそのものであるのに、哀はべつのゆらぎと毎日毎夜戦っている。
「あなた、夜は寝ているの?」教会の説法が終わった後、信者たちと会話する沖矢に哀は訊ねたことがある。すると彼は艶のあるバリトンで「ええ、いつもぐっすり眠っていますよ。君は寝ていないんですか?」
「…どうしてわかるのよ」
「そんなに小さな体なのに、目の下にクマができてる」
「…余計なお世話だわ、神父様」
ゆらぎは毎日駆逐はしているが、いつも人が襲われる前の状態だ。正確に言うと、家畜は襲われているが人には手を出していない。ゆらぎのレベルが低いのだ。まるで哀に駆逐されるのを待っているようではないか。
「あなた、最近教会で悪い事しているの?」
「ほー。どうしてそう思うんです?」
「教会に入っていった人数と、説法が終わって教会から出てきた人数が違うのよ」
「よく見ていますね?」
「もちろん」
「それだけ僕の事を気になっているのですか?」
「そうね、違う意味でそれなりに」
「別の意味でもかまいませんよ」
「お断りするわ。貴方みたいな人がこんな子供に興味があると思えないし」
「君を子供だと思っていませんがね、まぁいいでしょう。人が少ないのは残って頂いてるんです。教会ですからね。ある種のボランティアを手伝ってもらっているんですよ」
どんなボランティアなのか。哀は心の中で毒づいた。
ボランティアの若い女性が夢をみたような虚ろな目をして、悦楽の表情を浮かべ、顔に赤みを帯びたままで出てくるのを…私が知らないとでもおもっているのだろうか。恍惚の意味すら知らないと思ってるのだろうか。
「やっぱりあなたは気に食わないわ」哀が沖矢にそう告げると、彼は笑顔で答えた。「そうですか。でも僕は君を好きですよ」
ゆらぎは人間を喰らう。人間の負の感情で生まれたそれらは、人間の純粋なエネルギーを喰らうのだ。血肉は媒体に過ぎない。そう、エネルギーであればなんでもいいのだ。
哀は沖矢の行動を観察しては疑問に思うことがどんどん増えていく。
思えば、哀がこの世界に来て三カ月がたとうとした頃だ。
季節はHallowe’en。子供は夜にトリックオアトリート!と叫んでいる。哀の魔法少女としての恰好はちょうど仮装にも似ている。今日はゆらぎの気配はない。けれど、明らかにある場所からの妖気が強くなっていた。
教会の前に立つ灰原哀は、小さな体に魔力を充填させ、建物の中にいる男の気配を強く感じた。中にいるのは沖矢昴だ。哀は杖を持つ手に力を込めて、大きく息を吸うと教会の扉に手をかけた。木と真鍮で作った扉が大きく軋んで動き哀の身体が入り込むくらいの隙間ができた。隙間からのぞくと暗くて何も見えない。匂いを嗅ぐ。甘ったるい花の匂いと…なんだろうすこし生臭い匂いがする。けれど匂いだけで何も判断ができなかった哀は、中に入る決意をした。
「神父様、いないの?」
哀の靴が床を鳴らし高い音を響かせる。薄暗がりの中、奥へ進むにつれ、痛いほどの魔力の昂ぶりを感じられる。
「ねぇ、神父…昴さん?」
この夜に月はなく、教会のホールに入り込むのは街灯の僅かな光だけ。哀は目を凝らして歩美を止める。ずるりとした何かの這う音が聞こえたと同時に振り返ると…哀の身体はゆらぎの触手によって捕らわれてしまった。
悲鳴を上げながら、心のどこかでこうなる事がわかっていたのだ心の中で声がする。杖に力を込めて魔力で作った刃で自分の身体を拘束する触手を切断すると、哀は蠢いている何かに向かっていくつもの光珠を投げつける。小さな爆発と旋光。焼けただれていく匂いを放ちながら、触手がいくつもうごめき、そしてしゆうしゅぅと音を立て消えていく。中心には白い何か…人間だ。人間の若い女が裸で触手になぶられているではないか。哀は身を乗り出した。そして、その女を眺めるように悠然と立っていたのは…「沖矢昴…ゆらぎ」哀はかすれた声をだして彼の名前を呼んだ。
「この人はね、教会にやってきて、こともあろうに僕を誘惑してきましてね。まぁ、僕も一応男なんでやぶさかではなかったんです」
「自ら体を差し出したというの? そんなおぞましいゆらぎの中で?」
「そりゃもちろんいい夢をみていただいていますよ。僕は人間ですが食料は常に最小限でいいのでね。人のエネルギーなんて、精をいただくか髪や血をいただくくらいで十分なんです。君だって気づいていたでしょう」
「…」
「ですがね、ボランティアの娘さんと比べれば…なんというか、そう『美味しくない』んですよ。どうしてかわかりますか?」
哀は沖矢を睨んでいた。手の中の杖は痛いほど握りしめている。
「もういいわ…」
「よくホラー小説や映画でいうでしょう。処女の血は甘美だと。その通りですよ。穢れがない人の血は、美味です。ですが…」
「…もういい。黙って」
哀はひらりと大きく跳躍した。素早く杖振りかざし中心に向かっていくつもの光珠を浴びせながら、魔力で作った大きな刃を振りかざし、触手の中心に突き進む。触手から解放された女の手をぐいと引き上げると、今度は床を大きく蹴り上げて入り口に後退した。
「君は、存外短気なんですね…」数々の触手を薙ぎ倒したというのに、沖矢は余裕の表情だ。
「あなたの話が長いのよ」哀は扉に手をかける。扉はいまだに重くて女を外に出すのには少し狭い。引き続き沖矢と触手が自分達を襲わないように更に光珠を投げつけながら、扉を開いていく哀。その小さな手を白い肌をした女の手が伸びて…
「きゃあああああ!!!!」
哀の四肢はあっと言う間に触手に絡めとられ身動きが取れない。
「人間の形をした…ゆらぎが二体?いったい、どうして…」
哀が助けたとおもっていた女はすでに人間の形をとどめておらず、黒い粘液にまみれた強い花の香りをもつ触手に変貌している。そのいくつかの触手が哀の身体に向かって這うように絡みつく。
「ほら、だから言ったんですよ。せっかちだって。聞いたほうが良かった、と思ったでしょう」沖矢は変貌した女と囚われてしまった哀を見上げながら、残念そうに言った。
哀の腕は早々に捻られ、力なくした手から杖は失われている。マントは早々に割かれぼろぼろ。タイツは破られ幼い白い肌が露わになっている。ブラウスもはだけられてぬるぬるとしたものは哀の身体を意気揚々と蹂躙しはじめていた。
呻き声も悲鳴も出さず噛みしめた唇から赤い血がしたたり落ちる。その血を吸い取るように触手が哀の口の中に入ってた。唇から舌の上をぬるりと通り、喉の奥まで突き進んでいく触手。沖矢は「おやおや」とおもしろそうに声を出している。何がおやおやだ。お前も一緒になっているのではないのか。哀は薄れていく意識の中で叫んだ。すでに体の自由はない。どうやって脱出しよう。ゆらぎ二体では哀に勝ち目はない。今はただ、触手の餌になり自分がゆらぎに蹂躙され、隙を狙って逃げ出すしかない。そう覚悟した。抵抗をなくした哀の身体に、触手は執拗に這い回り蹂躙していく。未発達な肋骨が浮き上がる小さな体。縊れのない胴体。ボロボロになった辛うじて形がわかるスカートの中…その下の可愛いショーツの中に何本かの触手が前後に忍び込んで…哀は自分の身体の一部がそれらによって壊されてしまうのを覚悟した。
「ああ…そこまでです」
沖矢がのんびりとそう言った瞬間、哀の身体にまとわりつき、哀の口腔を汚し哀の膣に忍び寄ろうとした触手が…文字通り一瞬のうちに霧散した。
「え?」
落下していく哀の身体を沖矢が優しく抱きしめる。
かばうように抱き上げる姿はどう考えても立場が違う。突然の沖矢の行動に戸惑ったのは哀だけではない。ゆらぎと化した妖魔もまた同様だったようだ。動きが一瞬止まったが、餌を横取りされたものだと思ったのだろうか。自分が傷つけられたための危機感だろうか。はたまた生存本能なんだろうか、女であったゆらぎは暗闇から次々に触手を生み出すと、それは蠢きながらせり上がり、膨れ上がり…哀の視界を覆い隠すように…自分達に襲い掛かった…筈だった。
哀は沖矢の動きを呆然と見ていた。素早く自分を抱き上げた彼が触手たちを躱しては身をひるがえす瞬間、優雅な彼の手の動きに合わせて繰り出された一閃の光を…数多に広がり襲い来るそれらが一瞬にして霧散していく光景を…そして、一際跳躍した彼が哀と共に漆黒の穢れ…ゆらぎの中心にゆっくりと降り立った時、耳を塞ぐような断末魔の雄叫びがあがると同時に、今や教会をすっぽりと覆っていたゆらぎの本体が一瞬にして光の粒子となってしまったのを哀は見ていた。
ホール全体に降り注がれていく光の粒を手にとりながら哀は身体を震わせた。桁違いだ。彼は今まで自分が知るゆらぎの中でのけた違いの妖力をもっている。
「あなたは…だれ?」
哀は沖矢の胸の中で呟くように訊ねた。
「沖矢昴という神父ですよ」
「ゆ…らぎなのに、仲間を殺したわ」
「だって、君を食べようとしましたからね。あと、あれとは仲間ではありませんよ」沖矢は笑った。「言ったでしょう。僕は君を好きなんです」
「…妖魔の癖に…」
哀は苦虫をつぶすような顔をして口をつぐんだ。沖矢はそんな哀を長椅子に腰かけさせて自分の外套をかけるとこういった。「昔話をきいてください」
「僕がまだ人間であった時、魔法少女と恋をしたんだ。彼女はとてもやさしい女性で魔力も強くて数々のゆらぎを倒しながらこの町を守っていた。
俺はそんな彼女をできうる限りサポートしていたし、彼女もまた俺と一緒になる事で安らぎを感じてくれていた」
「…」哀は沖矢を仰ぎ見た。普段は糸目で表情がわからない彼の目が開かれている。その深緑の瞳は哀が知るどの人間よりも静かな感情を持っていた。
「けれど、あの頃の俺は魔法少女と一緒にいることの意味が分からなかった。いつか戦いが終わる、平和になって自分達は一緒に暮らせる。そう思っていたんだ。そんなときだったよ。魔法少女より妖力が大きなゆらぎが出現したのは。いろんなひとがゆらぎの犠牲になった。彼女の知人、仕事場の人間。そして…俺は彼女の足手まといにしかならなかった。彼女は俺を助ける為に、さっきの君のように…自分の身を犠牲にしてゆらぎを消滅寸前まで追い込んだ。かくして、街は一時の静寂を取り戻したよ」
「嘘」哀は即座に言いかえした。「姉は…あなたを、赤井秀一に殺されたのよ。守るためじゃないわ」沖矢はくびを振った。
「彼女は俺を助けてくれた。けれど、俺はそれに耐えれなかった。愛していた彼女を失い、自分が生きている事実に…そんな自分が許せなかった。ゆらぎはそんな俺の感情を嗅ぎつけて、俺の中の黒い感情を…悲しみを取り込み始めたのさ。そしてゆらぎになった俺は、ゆらぎの存在と異世界の情報を手に入れた。その頃には、俺はもう自分の姿ではなくなっていたよ。黒髪は魔力をもつ赤毛に変わってしまっていて、体は…」沖矢は哀に足元からの触手をみせてすぐひっこめる「こんな体になってしまってね」皮肉を込めて肩をすくめた。哀は信じられないといった顔で彼をただ見ていた。ゆらぎのまま人間の意識を保つのは難しい。それが目の前の彼はどうだ。ゆらぎの妖力を自分のものにしてしまい、更には哀が訊いたこともないような桁外れの魔物が目の前で笑っている。沖矢はつづけた。
「名前を沖矢昴と変えて街で暮らすのは少し大変だったけれど、落ち着くことができて…そして気づいたんだ。明美がいなくなったら次に異世界から派遣されてくる魔法少女は、きっと彼女が言っていた妹に違いない。彼女がきたら、僕はこの身のゆらぎと共に滅ぼしてもらえる。僕はそのために僕で在り続けた」
「…うそ…」
「君に嘘は言わないさ、かわいいお姫様。僕はね、志保を待っていたのに…やってきたのは君だった。姉そっくりの魔力のくせに、魔法少女にそぐわない年齢なんておかしいじゃないか。僕は君をずっと見ていた。そしてみているうちに気が付いたんだ。人間である赤井秀一は明美を愛し、明美は死んだ。ゆらぎである沖矢昴は灰原哀を救うことはできるんじゃないのか?ってね」
沖矢は床に落ちていた哀の杖を拾うと、彼女にうやうやしく手渡しながらこう言った。
「だから僕は毎夜君の相手をしながら、いつか君に僕のことをこうやって話しできるのを待った」
彼が提案した言葉は、哀の呼吸が止まるほど驚いたものだった。
「僕と契約しませんか?」
おまけ
『僕と契約しませんか?』
彼が提案したのはとても信じられないことだった。
彼の名前は沖矢昴。この町の教会の神父だ。赤い髪に糸目で眼鏡。胡散臭い笑顔を常に絶やさず甘い整った顔と魅力的なバリトンの声で近所の奥様はみなこの似非神父の虜である。
私の名前は灰原哀。この町に住まうごくごく普通の小学一年生。
私は夜になると魔法少女になって、この町に現れる『ゆらぎ』という妖魔を退治するお仕事をしている。そして、多忙な私のサポート役を務めているのが、さっき言った沖矢昴だ。彼の正体は『ゆらぎ』…そう、私が退治しなければいけない妖魔である。まるで少女小説のようだが、嘘ではない。私は彼と会ったとき、本気で滅ぼしたかったのだ。(若干、いまでもそんなことを思う事もある)
この町はもともと昔から妖魔を呼びつける何かがあるらしく、昔から定期的に『ゆらぎ』が出現している。沖矢昴は、最近ぽこぽこ現れる一般の『ゆらぎ』よりとんでもなく桁外れの強さを秘めているのだ。そんな彼が私と契約を交わし、あまつさえ同族である『ゆらぎ』を駆除しているのだから、人生何があるのかわかんないものである。彼が私と契約を結んでから、仕事はやりやすくなったものの、困ったことが一つあった。
彼は、もともと私を見張っているふしはあったものの、最近は更にその見張りが過剰になってきていて、気が付いたらいつでも一緒にいることになっているのだ。隣に立っていたり、後ろにいたり、尾行されている。視線を感じなかったら、建物の影に同化して見張っているのよ。冗談じゃない。
先日は、私達が一緒にいるところをクラスメイトの吉田さんにみられてしまって「ねぇ、哀ちゃん。昴お兄さんって…ロリコンなのかな?」って、心配されてしまったわ。…笑い飛ばしたけれど、本当のところ、心の中では笑いどころじゃなかったわよ。
だってね、彼はいつもあんなふうだけど、契約がね…とんでもないものだもの。そう。困ったことがあるといったのは、その契約の方法の事。実際アレが契約の履行証明でもあるんだから
…アレって…その…恋人がするアレなのよ。私と彼はそんな恋人なんかじゃないんだけどね。仕方ないじゃない。私はまだ幼女なのに、そういうことを強いるのもよくないと思うのに、彼はそれをしたいっていってきかなくて…
曰く、妖魔が魔法少女の力を取り込むときには体内に入るんだけど、契約も同じようにする必要があるらしいの。仕方ないんだけど、でも…その、おかしいでしょ。
そのあと、彼に文句を言ったら、
「本格的にアレをするには少し早いですが、男女の交わりとしてアレをするのも別にいいですよ」なんて笑顔でいうんだもの。「はぁ?バッカじゃないの。それってロリコン確定だから。あなた、神父のくせになにを言ってるの」って言い返したわ。彼はそんなこと全く聞いていなくて、笑顔でただ笑っていたけれど…ほんとに何を考えているのかわかんないわ。
彼ほど変態眼鏡って言葉が似合う人みたことないんだけど…でも、悔しいけれど、私はあの顔が好きなのよ。決して彼を好きだとは言ってないわよ。念のため。
異世界の規律から大きく逸脱した魔法少女がゆらぎと契約なんて、とんでもないことだと思っている。きっと、いつかは断罪されるときがくる。
これから先、彼や私に危険な事は数多くあるだろう。
けれどその時までは、私は馴染んでしまったこの世界で、魔法少女として戦っていく毎日を続けていくと思う。彼とともに。
姉が守ったこの町で…
了
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2017年の澁谷109。名探偵コナンコラボハロウィンでの衣装の妄想ネタです。 言うまでもなく、『魔法少女・アイ』(昔のエロゲ)ネタです。 |
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