新ビーストテイマー・ナタ2
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右翼の調子が完全に戻ったある日、アークはナタにこう言いました。

 

「では天界に参りましょう」

 

アークはナタをお姫様抱っこすると、ふわりと浮かび上がりました。ナタはアークに腕を巻き付けるように抱き付きます。

 

「天界って遠いんじゃない?アークの腕が疲れないかな…」

 

「大丈夫です。長時間の飛行でナターシャ様のお身体に障らないか、心配ですが…」

 

「だったらレッドドラゴンを召喚するけど?それならアークも疲れないでしょ」

 

「このような私用であのお方のお手を煩わせるわけには…」

 

「平気よ?レッドドラゴンのお爺ちゃん、私のお願いならいつも聞いてくれるから」

 

「できれば私はナターシャ様と二人っきりで過ごしたいのですが…」

 

「ふふ、それじゃこのまま行きましょう」

 

アークはナタを抱えて、グングン上昇して行きます。ナタの身体に負荷がかかって息も苦しくなりました。

 

「ナターシャ様、お顔の色が優れませんが…」

 

「なんだか息が苦しくて…」

 

アークは上昇するのを一旦やめると、空中旋回しながら、何を思ったか突然、ナタの唇を奪いました。

 

「とりあえず人工呼吸を試みてみました」

 

「キスされたらドキドキして余計に息苦しくなるからやめて…」

 

「天界に行くのを今日はやめて、一旦地上に戻りましょうか?」

 

「せっかくここまで来たんだし、早く行きましょ。息苦しいのもだんだん慣れて来たから…」

 

「しかしナターシャ様の身に何かあったら、ゲイザー様に叱られます」

 

「あっ、そうだ!風を操る魔法で…」

 

ナタは呪文を詠唱すると、空気を圧縮して肺に酸素を送り込みました。

 

「流石、ナターシャ様。素晴らしい発想です」

 

「これなら大丈夫!最初からこうすれば良かったわ…。私ったらこんな簡単なこと、なんですぐに思いつかなかったの?」

 

天界に着くと、見事な彫刻の施されている真っ白な建物が見えました。建物の入口の大きな扉の前でアークはナタを降ろしました。

 

「ミカエル様!只今、帰りました。どうか門をお開けください」

 

アークが声を張り上げると、門が開いて天使が現れました。

 

「おかえりなさいませ。さあ、中へどうぞ…」

 

「あなたがミカエル様?アークと同じくらいのものすごいイケメンだわ…」

 

「いえ、彼も私と同じ階級が低い天使です。翼が一対しかないでしょう?私の方が彼よりも、一つだけ階級が上ですが…」

 

「天使の男はクオリティ、高すぎるわ。人間の男でこのクオリティの男は滅多にいないし…」

 

「あの…、この人間の女性は一体、どなた様でしょうか?」

 

「現在、私がお仕えしているご主人様ですよ」

 

「人間に仕えるなど、あなたも落ちぶれたものですね」

 

天使は明らかに見下したような目で、ナタの身体をジロジロと品定めしていました。

 

…つづく

説明
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第2話です。
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