新ビーストテイマー・ナタ4
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「さて、人間になる為の方法なのですが…。金のリンゴの伝承は、ご存知ですか?」

 

「人間の祖先であるアダムとイヴが我々と同じ天界に住んでいた頃、食べてはいけないと言われていたのに食べてしまって、罰を受けた金のリンゴのことですか?」

 

「はい、あのリンゴは望みを叶えるリンゴでした。それを食べてアダムとイヴは自由を手に入れた代償に、寿命を与えられたのです。人間の最も畏れる死と言う恐怖。つまり永遠の命と引き換えに願いを叶えるリンゴだったのですよ」

 

「その金のリンゴは一体、どこにあるのでしょうか?」

 

「妖精界にあるようですね。人間界では迷いの森と呼ばれている場所ですよ。ただしリンゴの樹の前には番人がいて、簡単にはリンゴを渡してくれないでしょう…」

 

「お師匠様の塔があった森のことね!灯台下暗しだったわ」

 

「わかりました。ありがとうございます、ミカエル様」

 

アークとナタは何度もお辞儀をしてから玉座の間を跡にしました。マルヴェールに帰ると旅に出る許可を得ようと思って、夕食の時間に金のリンゴのことをゲイザーに話したのです。

 

「ひょっとして…その金のリンゴがあれば、私とフラウも人間に戻れるのではないですか?」

 

「そうですね。寿命と引き換えに願いを叶えるリンゴだとミカエル様は仰っていましたし、獣人の寿命は今のところ、人間より遥かに長いと言うことしかわかっていませんが、おそらくは天使と同じく…」

 

「もう人間に戻ることは諦めていたのに…。まさかこんな方法があったなんて」

 

フラウはため息を漏らしながらそう呟くと目を輝かせて話に聞き入っています。話に夢中になって食事が冷めてしまったのに、誰も手をつけようとしていませんでした。

 

「その旅に私とフラウも同行して構わないだろうか?アーク殿」

 

「ゲイザー様とフラウ様が一緒に来てくださるなら、こんなに心強いことはありませんね。ナターシャ様」

 

「うん!おじさんがいればリンゴの樹の前にいる番人もやっつけられそうな気がするわ」

 

「旅に出る前に片付けて置かなければならない仕事があるのですが、少々手間がかかります」

 

「えーっ、今すぐ旅に出たいのに…」

 

「ナターシャ、フラウは一国を治める女王なのだよ?そして私はその補佐官。突然、何も言わず二人がいなくなれば国民が混乱します」

 

「ううっ…、おじさんがいないと番人を倒せないような予感がするから仕方ないか」

 

「旅に出るなら仲間は一人でも多い方が良いですからね。私よりもゲイザー様の方が智謀を巡らせるのは速いですし」

 

「そうだ!お師匠様や獣人の王様にも一緒に来てもらおっと?」

 

ユリアーノとフォンも同行してもらって、ナタの旅がまた始まることになったのでした。

 

…つづく

説明
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第4話です。
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