新ビーストテイマー・ナタ5 |
元アラヴェスタ国王が拘束されている強制収容所。ゲイザーは元国王に面会に来ていました。
「随分とお痩せになられましたね…」
「あれからもう十年経った…。食事制限も受けているのだから体型も変わるじゃろうな」
「あなたの父上の死因は贅沢病です。好きなものを好きなだけ喰らい、ぐうたらしていたから若くして亡くなられた。あなたもあのまま、自堕落な生活を続けていたら、今頃、父上の跡を追っていたことでしょう…」
「そうか…。ならば其の方には感謝せねばなるまいな」
「死刑にすべきだと言う意見もありましたが、私はテオドールに助言して死刑を廃止にさせました。代わりに強制労働をさせています」
「其の方のことを恨んだこともあったが、余の命があるのは其の方のおかげだと言われたよ」
「殺すのは一番簡単な処罰です。一番難しいのは改心させることだ…」
「余はもう心を入れ替えた。ここから出してくれ…。頼む!ゲイザー」
「いいえ、ここから出てもあなたは一人では生きて行けないでしょう」
「こんなところはもう嫌だ…。女がいないのが余には耐えられない…」
「ここなら一日三度食事は与えられます。女性がいないのは我慢してください」
「食事が少ないのは最初は辛かったが、今となってはなんとも思わなくなった。しかし女を抱けないのはもう我慢ならない!」
「おそらくここから出てもあなたはまともに暮らすことはおろか、あなたに恨みを持つ者から命を狙われることでしょう」
「こんな慎ましい生活を続けるくらいならいっそのこと殺してくれた方がマシだ…」
「それが私のあなたに与えた罰だからです。殺される方がラクな場合もある。あなたは生き続けて罪を償わなくてはならない」
その時、ゲイザーの隣で護衛をしていたアークが口を開きます。
「オズワルド様があなたを陥れる為に兄上に依頼して野菜の値段を高騰させていたのは、なぜだかわかっておられますか?元国王」
「それは私も気になっていたのです」
ゲイザーが興味深そうにアークの話に耳を傾けました。
「全くわからん…。余が庶民のように野菜の値段など一々、気にするわけがなかろう?」
「野菜を輸入させる為です。オズワルド様は外交官をなさっていましたから、賄賂をもらって野菜の輸入を斡旋していたのですよ」
「なるほど、やっと長年の謎が解けました。野菜が肉とほぼ同じ値段に高騰して、飲食店の者は随分と苦労していたようです」
「だから何だと言うのだ?余には関係のないことだ…」
「まだわからないのですか?あなたは愚かだから、オズワルド様の好きなように政を操れるので、国の飾りとして祀り上げられていただけなのですよ。そこには忠誠心など微塵もありません」
「随分とわかりやすく解説してくださって、ありがとうございます。国民の気持ちを考えないのは騎士が習う帝王学でも、最も愚かなことであると教科書にも載っておりました」
「オズワルド様があの時、生きておられてもテオドール様と同じように、あなたを見捨てて助けることはなかったでしょうね」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第5話です。 | ||
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