新ビーストテイマー・ナタ6 |
「さてと、元国王。これより私はあなたの担当を離れます。私の留守中は部下があなたをどうするのか決めることになりますが、あなたの死刑を推進している者が今も国内には多くいるので、もしかしたら次に私があなたと会うのは、あなたの名が刻まれた墓石の前、かもしれませんが…」
「ま、待ってくれ!余はまだ死にたくない…」
「私も随分と長く死刑については廃止すべきだと熱弁してきましたが、周りを説得するのに疲れてきました…」
「そ、そんなッ!後生だから助けておくれ…」
「私がいなくなれば死刑を強行する者もいるでしょうね。死刑反対派は少ないですし…」
「ゲイザー!どこにも行かないで…。余の担当を離れるなど…、余が許さん!」
「あなたに私に命令する権限はありませんよ」
「余が殺されると予測していて、なぜそのような酷いことが出来るのだ?」
「あなたはもっと酷いことをしてきたではありませんか?私はあなたよりも妻の方が大事なので、妻の不妊症を治す方が重要なのです」
「不妊症など取るに足らん悩みではないか!」
「今、何と仰いましたか?」
「余の命と不妊症のどちらが深刻であるのか、わからぬのか?」
「私はあなたの命を守る為に死刑廃止を進言したわけではありません。あなたに苦痛を与える為に死刑廃止を推し進めていました」
「ゲイザー、やはりお前は…本物の悪魔だ!」
「何とでも仰ってください。私は自分は良い人だなんて微塵も思ったことなどありませんよ」
元国王が怒り狂って叫び声を上げているのを無視して、ゲイザーとアークは地下牢を跡にしました。騎士団の詰所で引継の手続きを済ませて帰宅します。
「フラウの方の引継の手続きはもう終わっただろうか」
「フラウ様も今回の旅に行かれるのは、期待に胸を膨らませておられましたからね。きっと上手くやっておられるはずですよ」
「女王が外出するとなると、補佐官の私が外出するよりも手続きに時間がかかりそうだ」
ひと段落して休憩室にいたフラウに、三つ編みのお下げ髪を肩から垂らした人間の女性が話しかけてきました。
「フラウ、今暇ならお茶にしない?」
「グロリア、ちょうど良かったわ。あなたに話したいことがあったの」
フラウは不妊症の悩みをいつもこの女友達に打ち明けていたのです。不妊症が治るかもしれないと話すとグロリアはまるで我が事のように喜んでくれました。
…つづく
説明 | ||
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第6話です。 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
107 | 107 | 0 |
タグ | ||
リュートさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |