新ビーストテイマー・ナタ11 |
翌朝、ゲイザーは朝食を摂りながら暗号の解読についてユリアーノに相談していました。
「昨晩、ユリアーノ様から聞いた伝承を私なりに分析してみたのです」
「うむ、お主の意見を聞かせておくれ?」
「まず、光の中で見えなくなるのは、夜空の星ではないかと思われます。星は闇の中では見えるようになるからです」
「なるほど、確かにそうじゃな」
「次に時計の針が逆さまに回るのは、鏡ではないでしょうか?鏡に映った時計の針は逆さまに回りますので…」
「ふむ、鏡の中に妖精界があると?」
「星の瞬く夜になれば、鏡の中に入れるような方法があるのでしょうか?」
「わしにもわからんが、わしの蔵書のコレクションの中にヒントがあるかもしれんのぉ」
「まだわからない部分がいくつかあります。近くて遠い、誰でもすぐに行けるが誰も知らない場所、と言うのが難しい…」
「とにかく、わしの秘密の書斎の鍵を貸してやるから、ナターシャと一緒にヒントを探しなさい」
「ナターシャと一緒にですか?」
「うむ、ナターシャは十ヶ国語ほど解読出来るのでな。一般人のお主は、せいぜい二ヶ国語ほどしか習得しとらんじゃろう?」
「はい、恥ずかしながら騎士の必修科目以外の言語はサッパリです…」
食事が終わるとさっそくゲイザーとナタとアークの三人は、ユリアーノの書斎の鍵を開けて中に入りました。部屋の中には少し埃臭い匂いが漂っています。ナターシャは適当に何冊か引っ張り出すと、熱心に読み耽り始めました。
「お前の頭の良さには驚かされるよ?私にも何か出来ることがあれば良いのだが…」
「うーんとね、今読んでるのは星とか鏡とかに関係ありそうな本ばかりなの。背表紙を見てこの単語が付いてる本を探してくれない?」
ナターシャは紙にサラサラと、いくつかの単語を書き出しました。ゲイザーの見たことのないような不思議な文字ばかりです。
「これは星の十ヶ国語で、こっちは鏡の十ヶ国語」
「夜空に関する単語は星以外にもたくさんあると思うが…。例えば月などだが」
「じゃあ、月の十ヶ国語も書いとくねー。他にも知りたい単語ある?」
ゲイザーとアークは手分けして、ナタのメモに書かれた単語の本を探し出しました。
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第11話です。 | ||
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