新ビーストテイマー・ナタ12 |
フラウとユリアーノとフォンの三人は食後にリビングで談笑していました。
「人間に戻れるなんて、まるで夢みたいです」
「もしわしが人間になれたら、サラもわしの子を産む気になるだろうか?以前、子を身ごもった時はわしがいくら説得しても産んではくれなかった」
「愛する男の子ならどんなことをしても産みたいと思うでしょうけど、サラさんの気持ちもわかりましたので、子を流す為の薬を調合しましたが、妊娠できない私には複雑な心境でした」
「不妊症の治療は難しいからのぉ…。ミネルヴァもわしの子が産めんことを悩んでおったが、わしには理解してやれんで、申し訳なく思っとる」
「ミネルヴァさんもご結婚なさったのがあと十年早ければ、子供が産めたかもしれない…と、悩んでいらっしゃるのかもしれませんね」
「わしは二十歳の時に血の契約をしてしまったから、もう子供はできんかったんじゃがなぁ」
「獣人は子供ができないと言うことは、その頃まだわかっていなかったのですか?」
「いや、子が作れないのは気づいておったよ?ユリアーノに血の契約をする際に、わしはその説明をしておらんかった…」
「うむ、しかし子が作れんことなど大した問題ではないと、若造のわしは思っておったかもしれん…」
「この歳になると我が子がおれば、どんなに可愛いだろうか?と考えることが多くなったな」
「わしはこのまま人生を全うして、穏やかに生涯を閉じるまでミネルヴァと二人きりの生活も悪くないかと思っておるのじゃが…」
「なんだか聞いていて私も歯がゆいです。私がミネルヴァさんなら、せっかく愛する人と一緒になれて幸せなのに、もう少し若ければ…と悩んでいることでしょう」
「例えわしが人間に戻れたとしても、ミネルヴァはもう妊娠できない歳じゃから、わしには金のリンゴなど無意味じゃて」
「サラはまだ若いからな…。まだまだ子を産める歳だ」
「フォッフォッ、人間になったお主の子が産まれるのを楽しみに待っとるよ?」
「サラさんはまだ三十四歳でしたっけ?」
「うむ、女が一番綺麗な時期だな。若すぎるのはわしは好まんから、今がちょうど良い」
「私も三十代になってから、少し気分が変わったのです。二十代の頃は何か焦りのようなものがあって…」
「フラウ殿は今年で三十路になったばかりじゃったかのぉ」
「ええ、今年で三十歳になりました」
「ますます良い女になったと感じておるよ?」
「フォン様は私が二十歳になった時も同じことを仰ってませんでしたか?」
「まあ、そう言うな。二十代の頃も美しかったが、三十代になって大人の女の色気が出てきたと、わしは褒めているんだ」
「そう言うことは、サラさんにだけ言ってあげてください」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第12話です。 | ||
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