新ビーストテイマー・ナタ15
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ナタはレッドドラゴンを召喚して、風の魔法でゲイザーと自分の肺に圧縮した酸素を定期的に送り込みました。呼吸困難になることもなく、天界の建物の門の前に辿り着きます。

 

「ここが天界ですか…」

 

「はい、門番に説明をするので少々お待ちください…」

 

アークが門の前で下級天使に説明をすると、訝しげな顔をしながらも下級天使は門を開けて、ゲイザーたちを中に招き入れました。

 

「天界嫌いのあなたがこうも頻繁に帰ってくるのは珍しいですね。妖精界の金のリンゴは見つかりましたか?」

 

「それが妖精界の場所すら特定できず、途方に暮れておりましたので、ミカエル様のお知恵を拝借に参りました。どうかヒントをお与えください…」

 

「そちらにおられるのは世界の危機を救ったと言う勇者ゲイザーですね?」

 

「お初にお目にかかります。ミカエル様、私のような者が世界を救うなどと…烏滸がましいです」

 

「ふふ、謙遜なさらなくても私は全てわかっています」

 

「私でなくてもおそらくは友人のテオドールが世界を救っていたと思います…」

 

「それは有り得ません。あなたの友人のテオドールには世界を救えるほどの才覚はなかったはずです」

 

「そうでしょうか?ミカエル様がそう仰るならば私の考えが間違いだったのでしょう…」

 

「勇者の地位は天界でもかなり階級は高いのですよ。あなたが亡くなった後は天界の幹部の任に就くことも可能ですが、あなたが人間に転生することを望めば、また勇者としてどこかの一般家庭に生を受けます」

 

「と言いますと…勇者の魂はずっと同じで、私は産まれた時から勇者になる運命だったと言うことなのでしょうか?」

 

「はい、勇者はどこに産まれるのかまではわからず、我々天使は素質のある者を探し出して、使命を与え世界を救ってもらいます」

 

「私にはまだ自分が勇者の素質があると言うのが信じられません。私はとても出来た性格とは言い難いからです。腹黒い思考も容易く行います」

 

「勇者の素質…と言っていますが、それはあくまでも育った環境に左右されます。場合によっては勇者の中に悪に目覚めて、世界征服を目論む者も現れます」

 

「そんなことも…私は一歩間違えば、悪の道に走っていた可能性があると言うことですか?」

 

「ええ、善と悪は紙一重なのです。皆、己の正しいと思う道を進みますが、あなたが正しいと思った道が他の者にとっては、好ましくない道であることもあるでしょう」

 

「なるほど、確かにその通りだと思います。私は以前、神父様をお救いする為に城を襲撃しましたが、その際に宝石強盗も企てました」

 

「その辺りの罪は天界でも賛否両論ではありますが、その他の功績を踏まえてあなたは善行を働いたと言う結論に達していますので、安心して天寿を全うしてください。地獄に堕ちることはありませんよ」

 

「てっきり私は死んだ後、地獄行きを宣告されるものだと思っておりました。慈悲深いご配慮に感謝致します」

 

…つづく

説明
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第15話です。
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