新ビーストテイマー・ナタ16 |
ミカエルは玉座から立ち上がるとゲイザーの側までやって来ました。ゲイザーは跪いてミカエルの手を取りましたが、何かを思い出したようにハッとした表情をすると慌てて手を離しました。
「勇者ゲイザーよ、私の書斎に立ち入る事を許可します。そこでヒントを探しなさい。鍵はこれです」
「あ、ありがとうございます!ミカエル様…」
ゲイザーは書斎の鍵を受け取ります。
「私は直接、ヒントは教えてあげられません。自分で探して見つけなければならないのです」
「そうですね。ミカエル様に頼らずに見つけられなければ、金のリンゴを得られるような資格はないでしょう」
アークも納得したように頷きました。
「あなたも一緒にお行きなさい。人間である勇者ゲイザーには天界の書物の解読は困難である為です」
「天界の書物は流石にナターシャには解読できないだろうか?」
「ナターシャは私と共に来なさい。未成年のあなたには見せられない内容のものもあります」
ナタはミカエルに手を引かれて連れて行かれました。アークはミカエルの書斎にゲイザーを案内します。美しい天使が書斎のある部屋の前で帳簿を付けていました。
「閲覧記録を付けますので、お名前を記帳お願いしますね」
「下級天使の私には名前がありませんので、代筆者として名前は勇者ゲイザーと記入すればよろしいですか?」
ゲイザーが頷くとアークは天界の文字で何やら記入しました。おそらく勇者ゲイザーと書かれているのだなと思い、なんとなくその文字の形をゲイザーは記憶しました。
「書斎の前にいた美しい天使も男性なのでしょうか?」
「ガブリエル様は女性ですよ。なぜ男性だと思ったのですか?」
「天使は見た目では性別が判断しづらいからです。アーク殿も女性に見える時があります…」
「私も人間から女性だと勘違いされることが何度かありましたね…」
「以前、アーク殿からミカエル様が男性であると聞いていたので、先程も危うく手の甲に忠誠の口づけをしそうになってやめたんです」
「ああ、そう言えば女性に忠誠を誓う際に、騎士は手の甲に口づけをなさる風習がありましたね」
「男性のミカエル様にそんなことをしたら失礼に当たります…」
「きっとミカエル様なら笑って許してくださると思いますけどね。人間の勇者から女性だと勘違いされることはよくあることですよ?」
「そう言えばアーク殿は名前がないと先程仰っていましたが、アークと言うのは名前ではなかったのですか?」
「それは私の階級の名前です。アークエンジェルと言うのは下から二番目の階級ですよ」
「なるほど、それでアークと呼ばれていたのですね。名前がないと呼ぶのが難しいですから」
「勇者からはいつもアークと呼ばれていましたので、今はそれが私の名前になっていますね」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第16話です。 | ||
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