新ビーストテイマー・ナタ17 |
書斎に入るとゲイザーは真っ先にある棚に惹きつけられました。見覚えのある文字が背表紙に並んでいたからです。先程見た勇者ゲイザーの文字と形が全く同じでした。
「アーク殿。この書物は一体、何が書いてあるのでしょうか?」
「ああ、これは…ゲイザー様の記録ですね。気になりますか?」
「とても気になります。もしよろしければ、なるべく詳しく読んで聞かせていただきたいのですが…」
「私も興味あります。でもヒントはここに載っているのでしょうか?」
「ヒントがあるかどうかはわかりませんが、私と関係のある書物ならば、中身が気になりますね」
書物の始めの方にはゲイザーの生い立ちや家族について詳しく書かれていました。ゲイザーが今までにしてきた行動も事細かく綴られています。
「驚きました。ここまで詳細に私の行動が天界に知られてしまっているとは…」
「私の報告した内容もありますね。ミカエル様が記録なさったのでしょう。他の天使からの報告もあるようなので、私の知らないことも載っていました」
「こちらの書物はなんですか?」
「それは…ゲイザー様が亡くなった後のことが記されているようです」
「えっ!私はまだ生きていますが…。未来もわかるのですか?」
「私にもわかりません。私は下級天使なので、この書斎への出入りも許されていませんでしたし」
「この書物の内容も知りたいのですが…」
「死んだ後のことを知ってどうするんです?」
「なぜかとても気になるのです」
アークはパラパラと書物をめくって軽く目を通すと、みるみる顔が青ざめて行きました。
「どうしたんです!一体、何が書かれていたんですか…?」
「こ、こんなことが…。ああ、私はなんと言う事を!なぜミカエル様は…私にこれを閲覧される可能性があるのを知っていながら…書斎の鍵を託されたのですか?」
「私には読めないのです…。教えてください。何が書かれていたのかを!」
「とてもじゃないですが話せません…。ゲイザー様から軽蔑されてしまいます」
「私がアーク殿を軽蔑する事はないと思いますが」
「ミカエル様がナターシャ様を連れて行かれた理由がわかりました。これはナターシャ様にだけは知られたくない!」
「私が死んだ後に…一体、何が起こると言うんです?」
「言えません…。私のことをミカエル様が気にかけてくださっていた理由も今わかりました」
「どうしても話してくれないのですか?私はアーク殿を親友だと思っていたのに、アーク殿は私を信頼出来ないと言うのですか!」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第17話です。 | ||
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