新ビーストテイマー・ナタ18 |
アークは目尻に涙を浮かべながら言いました。
「ゲイザー様…。このことを話して私はあなたの信頼を失いたくありません!」
「むしろ話してくれないならば、私はもうあなたを信頼できなくなりますよ?」
「私は…私はナターシャ様にとんでもないことをしてしまうようです」
「とんでもないこと?」
「ナターシャ様もおそらくはそのことを本能的に感じ取っていたのでしょう。だからナターシャ様から私は愛されなかったのです」
「ナターシャはあなたによく懐いているではありませんか?私もアーク殿ならナターシャと付き合っても構わないと思っていますよ?」
「叶わぬ恋のままで良かったのです。私はナターシャ様に近づくべきではなかった」
「この書物に記されていることをそのまま読んでください。お願いします」
「途中までなら…。私のことが書かれている部分は読みたくありません!」
「それは卑怯です!私の秘密は全てあなたは知っているのに、あなたの秘密は私には知られたくないなんて言っている相手を一体、誰が信頼すると思うのですか?」
「この書物に記されているのは、滅亡してしまった過去の話です。この世界は一度、滅びてしまいました」
「アーク殿の言っている意味がわからないのですが…」
「天界は時間を巻き戻すことが可能なのです。過去を操るウルド様のお力で…」
「天界はそんなことができるのですか?」
「はい、この書物によるとギルバート様の策でゲイザー様の母上のロレイン様が囚われて、それを救う為にゲイザー様はお一人で戦いを挑みましたが、ギルバート様の卑劣な手により敗北します」
「まさかそんな過去があったとは…。しかしギルバートならやりかねませんね。その後、どうなったのです?」
「ゲイザー様を失った後、マルヴェールの指揮を取ったのはフラウ様です。フラウ様は獣人の仲間を引き連れて、アラヴェスタ軍を皆殺しにします」
「確かにフラウならやりそうな気がします…」
「ゲイザー様の首をはねたのはテオドール様でしたので、フラウ様は命乞いをするテオドール様を無慈悲にも殺してしまうようです…」
「テオドールも殺されてしまったのか…」
「はい、フラウ様の怒りはこれに留まらず、アラヴェスタの街を支配し、ナターシャ様も人間を皆殺しにすると言うフラウ様の悪の計画に手を貸すことになります」
「ナ、ナターシャまで?なぜそんなことに…」
「ゲイザー様しかお二人を止められないからです。私は…ナターシャ様の悪事に手を貸して、あまりにも手を付けられない状況になり、ミカエル様が私を倒した、と書いてあります」
「随分と端折りましたね。どんな悪事を働いたのですか?」
「それは…これ以上、聞かないでください…」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第18話です。 | ||
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