新ビーストテイマー・ナタ20 |
書斎ではまだゲイザーとアークは押し問答を続けていました。アークの握り拳はプルプルと震えています。
「最後の端折ってる部分が気になっている。そこに何か大事なことが書かれていたのではないか?と推測する」
「私は…ずっとゲイザー様に嫉妬しておりました。ナターシャ様が愛しているのは、十年前からずっとゲイザー様だけだからです」
「ナターシャと私は年が離れているし、父と娘のような関係ですよ?」
「サラ様がフォン様をゲイザー様の代わりに愛したように、ナターシャ様も私を愛してくださるのではないか?と思っていましたが…」
「私の目にはナターシャはアーク殿を愛しているように見えていたのだが…。何か上手く行っていない理由でもあるのだろうか?」
「ゲイザー様が倒すべき相手と言うのは、元アラヴェスタ国王などではなく…私だったのかもしれません」
「アーク殿とは一度手合わせしたが、完敗だった。もう一度手合わせしても勝てる自信はないよ」
「まさか勇者と一緒に旅をしている仲間が、魔王の素質を持った者だなんて…誰も気づかなかったでしょう?」
「魔王の素質を持った者?それがアーク殿だと言うのか?」
「少し昔話をしましょう。私はアカデミーにいる頃、ミカエル様から特別に個人授業を受けていました。おそらくは元魔王である私を転生させて、二度と悪の道に走らないように再教育する為だったのでしょう」
「ふむ、実際に今のアーク殿は悪の道に走るようなことはないと思うぞ?」
「しかしミカエル様から個人授業を受けられるなどと言うのは、他の天使からの嫉妬を受けます」
「天使も人間とあまり変わりませんね…」
「私は他の天使から疎まれて謂れなき誹謗中傷を受ける的となりました。私は天界にいると居心地が悪くて、アカデミー卒業後に派遣された勇者の支援と称しては、天界に帰るのを拒んでいたのです」
「アーク殿が天界に帰りたくなくなる気持ちはわかる。私も故郷に帰るのが嫌だったからな」
「そんなある日、私はオズワルド様に…騙されてビーストカードに封印されてしまった」
「なるほど、それで私たちと出会ったわけか」
「オズワルド様から折檻を受けて苦しめられていても、神通力で天界に助けは求めなかった。人間に騙されて愚かな奴だと罵られるのがわかっていたからです。他の使い魔とも何度も話し合ったが、隙を見てオズワルド様を殺して逃げるつもりでした」
「そこにナターシャが現れたわけですね」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第20話です。 | ||
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