新ビーストテイマー・ナタ22 |
アークの気分がまだ優れないようなので、手がかりを探すのは一旦、諦めることにしました。
「ナターシャ様は…きっとわかっておられたんだ…。私の邪悪な波動に気づいていたから…」
「少し休憩しよう。疲れているだろう?」
「ミカエル様は…なぜこんな書物を…私に?」
「今のアーク殿なら受け止められると思ったのかもしれない。ミカエル様はユリアーノ様と少し似ておられる。きっと深いお考えがあるのだろう。ユリアーノ様も答えがわかっていても自分で探させる時があるし、ナターシャにはまだ見せられないような内容の魔導書を今見せることにした理由はわからないが…」
「ナターシャ様は心が綺麗なままです。私に唆されて悪の道に進んでしまったが、ゲイザー様がいれば防げた事です」
「私に語学力さえあれば、ナターシャやアーク殿を苦しめることにならず済んだのに申し訳ない」
「なぜゲイザー様が謝るのですか?全て私が悪いのに…。私はあなたを見殺しにした邪悪な悪魔なのですよ!もう信頼できないでしょう?」
「それはもう一つの世界の話だろう?今この世界の話ではない。私は生きているし、死んでしまった私には申し訳ないが、それは私ではない他人と言う感覚だよ?」
「しかもこの世界の滅亡は何度も繰り返しているようです。今この世界は上手く行ってるように見えますが、またゲイザー様が死んでしまったら人類は滅亡して、時間を巻き戻すのでしょう」
「と言うことは…勇者は何度死んでも蘇ると言うことですか?それで私は何があっても助かっていたのか…。そう思い込んでいただけで、私は何度も死んでいたのか?」
「そうなりますね。勇者を死なせない為に我々天使が見守っていましたが、時間を戻しても記憶が残っているのは、一部の上級天使だけだと思います。上級天使は私が元魔王で災厄の悪魔だと知っていたのに、なぜ優しくしてくださっていたのか…。私をいじめていたのは下級天使の方でした」
「そう言うものだよ?何も知らない者ほど人を罵ったり、勘違いで責めたりするものだ。私も嫌と言うほど経験している」
「なぜミカエル様は私を目にかけていたのでしょうか?私が人間を憎まないように、人間を愛するように教育されていた…」
「それはきっとあなたを信じていたからです。アーク殿なら必ず正しい道に進めると…」
「もしかしてミカエル様は私が人間になって、天使の力を失うように仕向けたかったのでしょうか?そうすれば私が堕天することはなくなりますからね」
「かもしれませんね。人間になる方法を探しましょう」
「うっかり忘れてしまうところでした…」
「早くしないと日が暮れてしまいます。急いでください。フラウも待っていますので…」
「天界では人間界の時間は経過しませんよ?」
「そう言えば時間の流れが速くて遅い、と言うのも伝承にはありましたね」
「もしかすると妖精界は天界の関連施設に該当するのかもしれません。天界の観光資料を見てみましょうか?」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第22話です。 | ||
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