新ビーストテイマー・ナタ26 |
ミカエルは笑顔を崩さずに話し続けます。そのポーカーフェイスは、ゲイザーの母親と少し似ているなと思いました。
「恋人と言うのは結婚して子を成す為のパートナーを探す為の前段階のことですよね?だとするなら恋人ではありません。なぜなら私は自分一人で子を成す事が出来るからです」
「私の勘違いでしたか…。申し訳ありません。ただミカエル様がアーク殿に対して特別な感情を抱いているように感じてしまいました」
「戦う際のパートナーとしては彼はとても理想的な相手でした。私と同等の魔力を持つ天使はそうそういなかったので…」
「ミカエル様が天界では一番強いと聞いていたのですが…」
「あの頃、私は天界で二番目の実力だと言っている者が多かったです。彼が堕天した際にも多くの天使が彼に賛同して、魔王軍に忠誠を誓って大勢の下級天使が一気に堕天しました」
「でもミカエル様はアーク殿を倒したのですよね?アーク殿の強さは一度戦った事があるのでわかっておりますが、ミカエル様はそれ以上であられると推察します」
「今のあの子の魔力は前世の十分の一ほどしかありませんよ…。私が本気で戦っても勝てる見込みは薄かったのです」
「魔王になれるほどですからね…。人間の私ごときには到底、倒せる相手ではないでしょう」
「ナターシャがパンドラの箱なのです。今はユリアーノの封印の術でナターシャも魔力を十分の一に抑えられていますが、パンドラの箱を開けられる鍵と器を持っているのが、魔王の素質を持つ者なのです」
「ミカエル様の鍵ではパンドラの箱は開かないのですか?ミカエル様なら器も持っていそうですが…」
「私の鍵は私専用です。生命創造の魔法を使える者は、天界ではごく一部の者だけです。人間にはほとんど誰にでも生命創造の魔法が使えますが、生命創造の魔法の儀式は凄まじい快感を伴うので、人間はその快楽に溺れて無闇に儀式を行う者も多く見られますね…」
「確かにそうですね…。しかしあれは生命創造の魔法の儀式だったとは…」
「生命創造の魔法を発動した後は凄まじい苦痛を味わいますが、人間は男性が鍵と女性が箱を持つように分けてしまったので、鍵を持つ側は苦痛を感じることはありませんし、箱を持つ側しか生命創造の魔法を発動することはできません」
「そう思うと女性には頭が上がりません」
「時々、鍵や箱が使えなくなってしまって、生命創造の魔法が使えなくなる人間もいるようです」
「今の私や妻のように…ですか」
「あなたやあなたの妻が生命創造の魔法を再び発動できるようになると良いですね。陰ながら応援していますよ。そしてあの子とナターシャが道を踏み外さないように導いてあげてください」
「わかりました。私に出来る限りの事はしようと思います」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第26話です。 | ||
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