新ビーストテイマー・ナタ47
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アークは慌ててケルビムのところに尋ねに行きました。

 

「あれは願いを叶える金のリンゴの樹で間違いありませんか?」

 

「いえ、あれは知恵の実ですよ?金のリンゴに見えるのは自由を欲してる場合のみですね。見る者によって見えるものが違うそうです」

 

「私は自由を欲しているから金のリンゴに見えたわけか…」

 

アークはまた元の場所に戻りました。ゲイザーとユリアーノは何やら二人で相談しています。

 

「おお、アーク殿が戻って来たぞ?」

 

「間違いなくあれが私たちの探し求めていた樹のようです」

 

「私には星の形をした奇妙な実が見えますが、ユリアーノ様には桃に見えるそうです。ナターシャに至ってはお菓子がなっていると…」

 

「あちらのケルビムに聞いてみてください。この部署の担当なので、私より詳しいです」

 

「アーク殿にもわからない事があるのですね」

 

「部署が違いましたからね。今いるのは福音課ですし、前世に勤めていたのは天誅課でした」

 

小さな橋を渡って離れ小島のケルビムのところに行きました。すんなり塞いでいた道を開けて通してくれます。

 

「私には樹にお菓子がたくさんなってるように見えるのはなんでー?」

 

「実の数は望みの数です。実の形は望みの種類ですが、お菓子は何の望みなのか、ちょっと俺にはよくわかりません」

 

「わしには桃が二つだけなっとるように見えるんじゃが、どう言う事なのか説明してくれんかのぉ?」

 

「桃は若返りを望んでいる者にのみ見えるそうです。食べれば二十歳の頃に戻れますよ。その代わり残りの寿命が半分になるので注意してください」

 

「な、なんと!ではわしが残り二十年生きられるとしたならば、寿命が十年縮む代わりに若かりし頃の姿に戻れると言う事かな?」

 

「はい、そうなりますね。ご老人、この桃を食べますか?」

 

「ミネルヴァにも食べさせてやりたいので、二つ持ち帰って良いかのぉ?」

 

「残念ながらこの実はお持ち帰り不可です。この場所を離れるとたちまち腐ってしまいます」

 

「なるほど、ここへ来る道は覚えておるからミネルヴァを連れて、また来る事にしよう。とりあえず桃を一つだけもらえるかな?」

 

ユリアーノが桃を食べると、みるみる若返って美しい人間の青年になりました。

 

「私は先に家に帰らせてもらいます。では!」

 

「お師匠様、別人みたいにイケメン…。しかも喋り方まで変わってる」

 

「ナターシャのお菓子がよくわからないと言っていたから、私のもなんだかわからないと言われそうだな」

 

「私のはハートの形に見えます。フォン様はどんな風に見えるんです?」

 

「わしか?青いリンゴだな…」

 

「すいません、俺の勉強不足で…。奇跡課のマニュアルもう少し真面目に読んどけば良かったな」

 

「とりあえず食べれば望みが叶うのですか?」

 

「そうです!でも寿命が半分になるんで、そこだけ注意してください」

 

ゲイザーは星型の実を、フラウはハート型の実を、フォンは青リンゴを食べました。

 

…つづく

説明
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第47話です。
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