愛しいひとへ。物語編−連れて行って− |
炎華。
俺、フラれたわ。
『重い』言われた。
俺の想いは、重すぎるって。
いつもいつもそうなんだ。
いつもいつも。
彼女はもっと気楽につきあいたかったらしい。
俺はいつも、『最後の女(ひと)』と思ってつきあうけど、
それが重いらしい。
なんだかもう、生きていくのも嫌になったわ。
いっそ樹海にでも行きたい気分だ。
そして、もう帰らない。
そうしたら、もう悩まなくてすむし、こんなに悲しまなくてもすむ。
・・今、なんて言った?
一緒に行くって、言わなかったか?
俺の聞き違いか?
なんで?
遊びに行くんじゃないんだよ?
いや、待て。
一緒に逝けるわけないだろう?
俺はそんなつもりじゃ・・
いや、お前と一緒には文句はないが。
お前を巻き込むわけにはいかないって。
俺は、Nに恨まれたくないぞ。
黙っていなくなれば、Nもあきらめるって?
いやいや、そんな簡単には・・
いったい何があったんだ?
喧嘩したのか?
なぜ黙る?
黙ってちゃわからんぞ?
ちゃんと、自分の言葉で言ってみろ。
「・・もう・・
疲れたんだ、お兄ちゃん。
ずっと愛されてたと思ってたけど、そうじゃなかったんだ。
それでも、私がいなくなるのが嫌なんだって。
本命には愛されないけど、代わりには愛されてるから、
それで我慢したいんだって。
『代わり』だって。
それをわかっているのに、なんだろう?この罪悪感。
私がなんでこんな罪悪感を抱かなくちゃいけないんだろう?
こんなつらい思いをするなら、Nの所へ真っ直ぐいけばいいのに、
罪悪感が邪魔をして、いけないんだよ。
ここにはいられないし、いたくない。
でも、Nの所にもいけない。
いっそ、私がいなくなってしまえば、両方があきらめるだろう。
だから、逝くなら、一緒に連れていってよ。」
・・炎華
「お兄ちゃんがどうしても逝くというのなら、私も一緒に逝く。
まだ生きていくことを頑張るというなら、
一緒に逝くことをあきらめるから。」
お前、言ってることが、滅茶苦茶だぞ?
だいたい誰が死にたいんだよ?俺じゃなかったのか?
俺は、生きていく意味がよくわからなくなったんだ。
今までも、明確な意味ってなかったけど。
目標もないし、生き甲斐もない。
一番好きだった女に、重い言われて、フラれて、
俺は生きていく気力もなくした。
この先生きていても、何もいいことはありそうもない。
だから、死にたいと思ってるんだよ。
お前はどうなんだ?違うだろう?
それに、
2人のことばかり、他人のことばかり考えてるけど、
本当に本当はどうしたいんだ?
他人のことなんて考えないで、
自分が思うようにすればいいんじゃないのか?
・・・わかった。
お前の答えがでるまで、樹海にはいかないことにする。
よく考えて、やっぱり俺と逝きたいと言うのなら、一緒に逝こう。
よく考えなくても、どうすればいいか、とっくにわかってるとは思うがね。
説明 | ||
この話から、物語風になります。 今まで書いてきた『愛しいひとへ。』に少し肉をつけてみました。 なお、作中の『炎華』は語り手として、 またはその語り手の相手としての呼び名でありますので、 私自身のことではないです。 |
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樹海 電話 一緒に どうしたいのか | ||
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