新ビーストテイマー・ナタ53
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ゲイザーは引継ぎの手続きを始めました。

 

「今回はフラウは置いて行きます。女王の仕事の引継ぎの手続きは一日で終わるものではありませんし、私が国王になりたくなかったのはこう言う時に困るからでもあったのです…」

 

「はい…、ゲイザー様が国王ではなくて良かったです」

 

「ユリアーノ様の外出届けも出さなくては…。長寿の薬の調合はフラウではなくユリアーノ様に頼みます」

 

「ユリアーノ様なら調合は一日でも出来そうですね!」

 

「ええ、フラウには申し訳ないけど、ユリアーノ様の方が速いと思います」

 

ゲイザーは騎士団の詰所に寄ったついでに元アラヴェスタ国王に面会に行きました。

 

「お加減はどうですか?元国王」

 

「ゲイザー!聞いておくれ…。騎士団の者の余に対する扱いが酷いんじゃよ?」

 

「騎士団の者があなたに対して何かしたのでしょうか?出来れば詳細に話してください」

 

「この前など、余にゴキブリ入りのシチューを食えと強要してきて、ゴキブリを食わなければ明日から飯抜きにすると脅されて…」

 

「ゴキブリを食べさせられたのですか?」

 

「うむ、まるでエビのような香ばしい味だったが…。しかし余は傷付いた!このような仕打ち決して許せぬ…」

 

「ゴキブリはエビと成分が似ていますからね」

 

「ゲイザー!なんとかしてくれ…。余はこんないじめにもう耐えられぬ…」

 

「少々お待ちください。誰か!食事を担当していた騎士団の者をここへ呼びなさい」

 

牢屋の前にズラリと並ばされている騎士団員の中の一人を元国王は指差して叫びました。

 

「彼奴が犯人じゃ!ゲイザー、彼奴を罰してくれ」

 

「元国王の食事にゴキブリを入れたと言うのは本当ですか?正直に答えなさい」

 

「は、はい…。私がゴキブリを入れました。申し訳ありません!ゲイザー様…」

 

「あなたは私が以前テオドールに進言して新しく制定した、囚人に対する保護法案をご存知でしょうか?」

 

「えっと…その…如何なる理由があっても囚人に不当な体罰を与えたり、虐待をしてはいけない。背いた者には厳しい罰則を与える…でしたっけ?」

 

「そうです。その法案に基づき、あなたを処罰します」

 

「ゲイザー様!あの男は私の妻に…とても酷い事をしてきました。私はあの男が許せない!」

 

「あなたの気持ちはわかりますが、法は厳守されなくてはならない…」

 

…つづく

説明
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第53話です。
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