新ビーストテイマー・ナタ62
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メタトロンに挨拶をすると、冥界の門の前にずらりと並んでいる燭台の中から、以前ナタのものであると教えられた蝋燭の前に行きました。命の炎は風前の灯です。

 

「メタトロン様、ナターシャ様の寿命はあと何時間になりますか?なるべく正確にお願いします」

 

「うーむ、残り八時間ほどかな…。人間界の明け方近くに消えるだろう。太陽が昇る頃には冷たくなっているはずだ」

 

「太陽が昇るまで、ですか…。わかりました」

 

「待ちなさい。お主に話があるのだ」

 

「はい、何でしょう?」

 

「ミカエルからはまだ話を聞いておらんか?」

 

「ミカエル様とは…口もききたくありません」

 

「お主の昇進が決まった。近々、セラフィムに昇格されるようだぞ?」

 

「セラフィムになどなりません。人間界に行くのに許可が降りづらくなる」

 

「まあ、わしもセラフィムにはなりたくないから、こんなところで呑んだくれておるのだが」

 

「あなたは影の実力者です。ミカエル様など足元に及びもしないほどの…」

 

「お主ほどではないがな…」

 

「私はまだまだ若輩者ですよ。愛する女一人も守れやしない…」

 

冥界の門から神殿の方に戻るとミカエルが待っていました。

 

「お願いです。話を聞いてください」

 

「昇進の話ならお断りします。私は福音課で勇者の支援を続けさせてもらいたいのです」

 

「そうですか。私の片腕としてあなたの力を貸して欲しかったのですが…」

 

「あなたの下で働くなんて真っ平御免ですよ」

 

「その様子だと前世の記憶が完全に戻っているようですね」

 

「なぜあの時、ミカエル様は私の鍵を使ったのですか?私は転生したいとあなたに頼んだが、私の鍵を使っても良いとは言っていません!」

 

「仕方なかったのです…。あなたを守る為でした」

 

「リリスを地獄に追放したのもあなたの差し金でしょう?」

 

「それは違います。私はリリスとあなたを…助けようとしていました」

 

「嘘をつかないでください!あなたは禁断の果実を使ってナターシャ様を殺そうとしたではないですか?」

 

…つづく

説明
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第62話です。
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