新ビーストテイマー・ナタ63
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ミカエルは哀しそうな表情で目を伏せながら、言いました。

 

「今のあなたに何を言っても無駄かもしれませんが、あの時あなたの鍵を狙っている者がたくさんいたのです。私があなたの力を腹の中に取り込む事で守りました」

 

「それは嘘だ!私の鍵を使った時のあなたの恍惚の表情を鮮明に覚えています」

 

「儀式の最中にはとても強い快感を伴うので、そうなってしまうのです…」

 

「リリスを男たちに襲わせたのもあなたの指図だったのでしょう?正直に答えてください!」

 

「それも違います。信じてください」

 

「もうあなたの言葉は信じられない」

 

「私は今でもあなたとナターシャの幸せを願っています。あの時もあなたとリリスが幸せに暮らせるように、色々と取り計らっていました」

 

「では、なぜあなたは神を裏切らなかったのです?あなたが私を倒しに来なければ、私はリリスと永遠に幸せに暮らせたはずなのに…」

 

「神を裏切れば罰を受けます。私も誰かの手によって倒されたでしょう。そうなれば誰もあなたとリリスを救う者はいなかった…」

 

「私には味方がたくさんいた。あなたも味方に付けられると思っていたのに、残念でしたよ」

 

「あなたとリリスを転生させて、いつか引き合わせる事が出来れば、また幸せになれるだろうと考えて、心を鬼にしてあなたを倒しに向かったのです…」

 

「私はあなたの事を親友だと信じていたのに、裏切られた気分でした」

 

「私はあなたを愛していました。ただ、それはあなたを幸せにしたいと思う感情です。あなたを独占して私のものにしようなどと、一度も考えたことはありません」

 

「それならなぜ私を片腕にしたいと言ったのです?矛盾してますよ!」

 

「あなたほどの優秀な者がなかなかいないのです」

 

「私はゲイザー様の部下として、死ぬまで働きます。もう天界には二度と戻りません。今、覚悟を決めました」

 

「勇者ゲイザーならば、あなたの理解者となってあなたを正しい道に導いてくれるでしょう」

 

「そうですね。もう二度とあなたに会うことはないでしょう。さようなら」

 

…つづく

説明
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第63話です。
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