新ビーストテイマー・ナタ83 |
数日後、ゲイザーは執務室で日課のアラヴェスタ・タイムスに目を通していました。
「な、何だ!これは?」
そこには大きな一面の見出しに『メサイアのアーク、本名ルシファー氏、総選挙へ出馬表明』と書かれていました。ルシファーはいじめ対策に関する法案を制定する事をマニフェストにしているようです。
「アーク殿は一体、何を考えているのやら…」
「何か気になる記事でもあったのですか?ゲイザー様」
「アーク殿がアラヴェスタの議員選挙に立候補したらしい」
「えっ、アークが議員になるのですか?」
「まだ当選するかどうかはわかりませんが、世論調査の結果ではアーク殿の支持率が過去最高の数値を出しているようですね」
「メサイアは若者の間でも人気がありますからね。若者の投票率が高そうです」
「しかもこのいじめ対策法案と言うのが…。少し問題がありそうです」
「いじめ対策法案?アークが考えた法案なのでしょうか…」
「ナターシャがいじめを受けていたのを知ったからでしょう。いじめをした者は厳しく処罰すると言う法案ですよ?」
「それなら良い法案だと思うのですが…」
「この法案を悪用していじめなど受けていないのに、いじめを受けたと嘘の密告をする者が現れたらどうしますか?」
「そ、そんな!いじめ対策法案を悪用されたら大変な事になってしまいますね」
「いじめ対策は簡単ではありません。いじめっ子を罰すれば、次はそのいじめっ子がいじめに遭う事になりかねないからです」
「どうすればいじめはなくなるのでしょうか」
「いじめはなくなりません。いじめをしている側はいじめをしていると言う自覚がないからです」
「確かにそうですね。いじめられてる側も言い出せずに我慢してますから」
「悲しい事ですが、この世の九割以上の人間はいじめっ子です。残りの一割未満の人間しかいじめをしない者はいません」
「ゲイザー様はその一割未満のお方ですよね」
「もしかしてミカエル様がルシファーを倒せと言ったのは剣ではなく、ディベートによる言葉の武器で戦って勝て、と言う意味だったのか?それならば私にも勝機はありますね」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第83話です。 | ||
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