新ビーストテイマー・ナタ99 |
ナタとアークが仲直りしている頃、ゲイザーが寝室に戻ると、フラウが寝ないで待っていました。
「また酒場に行っておられたのですか?」
「いえ、なぜ酒場に行ったと思ったのです?」
「私と喧嘩したら、いつも酒場へ行くではありませんか?」
「跡を付けてきてたんですか?」
「そんな事はしてません。ゲイザー様の飲み友達の奥様から聞いたんです」
「ああ、フラウはベン殿の奥様と知り合いだったのですね」
「ベンさんに私の悪口を言っておられたんでしょう?」
「悪口なんて言ってませんよ?」
「私の事が怖くて頭が上がらないと仰ってたと聞きました」
「妻が怖くて頭が上がらないとは言っていません…。私の言葉を曲解されてしまったようですね」
「気に入らないところがあるなら直接、私に仰ってください。酒場で酔っ払ってる見知らぬ男になど、私の事を話さないで欲しいです」
「気に入らないところなどありません。今夜は酒場に行こうとしたら、夜風に当たりに来たアーク殿がおられたので、先程まで話をしていました。アーク殿も色々と苦労されているようです」
「アークはナターシャちゃんと上手く行ってると思います」
「そうでもないようです。フラウに誤解のないように言っておきます。男は酒場に行って妻の悪口を言ってる様に見えて、実は妻の事を褒めているのですよ」
「悪口が褒めている事になるんですか?」
「はい、例えばベン殿はいつも給料が少ない…と妻に叱られるとぼやいていますが、金のない自分を愛してくれていると褒めている様に聞こえるのです」
「物は考えようですね…。ゲイザー様の視点が普通の方と違うから、そう映るのでしょう?」
「私の経験上、妻の悪口をぼやいている男性ほど家庭が上手く行っているようです。妻の事を褒めてばかりいる男性の方が苦労されていたりします」
「ゲイザー様は…どちらなんですか?私の悪口を言っていらしたんですよね?」
「いえ、悪口は言っていません」
「それはどう言う意味ですか?」
「アーク殿も妻の…ナターシャの前世のリリスの事を褒めてばかりいるのですが、なぜか上手く行っていなかったようなのです。アーク殿も私と似ているな、と思いました」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第99話です。 | ||
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