新ビーストテイマー・ナタ100
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ゲイザーとフラウの夫婦喧嘩は、まだ続いていました。

 

「そう言えばグロリアも夫の悪口ばかり言ってる割に街で見かけると幸せそうにしてますね」

 

「おそらく悪口を他人に言うことで心のバランスを取っているのでしょう。だからフラウも私の悪口をグロリアさんに言えば良いと思いますよ」

 

「ゲイザー様の悪口など言えるわけがないでしょう?」

 

「昔、母上から聞いた言葉なんですが、一番好きな人とは結婚しない方が良い。二番目に好きな人と結婚しなさいと」

 

「なぜ二番目に好きな人と結婚するのです?」

 

「一番好きな人と結婚すると幸せになれないそうです。二番目に好きな人と結婚するのが幸せになれるのだと、母上は言っておりました…」

 

「そんなのはおかしいです。私は一番好きな人と一緒に居られるのが幸せだと思います」

 

「私は一番好きな人と結婚したので、幸せにしてあげられなかったようです。母上の教えが正しかった…」

 

「それはお母様が間違っています!」

 

「母上はおそらく他に好きな人がいたのに父上と結婚なさったのでしょう」

 

「私はそう思いません。ゲイザー様のお母様とお父様は愛し合ってるはずです」

 

「私の目には母上が父上を愛してるようには、とても見えないのですが…」

 

「だって…私の大好きなあなたを産んで育てたお父様とお母様が愛し合ってなかったなんて、思いたくないんです!」

 

「私は幼少の頃よりずっとあの二人を見ていました。夫婦喧嘩が絶えなかったし、父は私にすぐ暴力を振るいましたが、外面だけは良くて幸せな家庭に見えたようです」

 

「なんとなくフォン様と似ていますね…」

 

「父上は母上の兄上と親友だったそうです。ある日、親友の家に遊びに行くと美しい妹がいて一目惚れしたのが、馴れ初めだと聞きました」

 

「素敵な出会いですね」

 

「父上は地位も高いですし、安定した暮らしが出来ると思われたのでしょう。しかも兄上の親友とあらば…尚更、断り辛かったと思います」

 

「それではゲイザー様のお母様は金目当ての結婚だったと言うのですか?」

 

「いえ、どちらかと言えば父上より、母上の兄上の方が家柄は良かったと思います」

 

「だとしたら金目当ての結婚ではなさそうですね」

 

「母上は物持ちが良いので、ある日私は母上の宝石箱から薄汚い手彫りの木製ブローチを見つけたのです」

 

「貴族の家にそんなものがあるなんて不思議ですね…」

 

「表に花が彫ってあり、裏に愛するロレインへと書かれていたので、おそらく母上を心から愛する誰かの作ったものでしょう」

 

「まぁ!お父様がそんな素敵な贈り物を…。やはり二人は愛し合っていたのですね」

 

…つづく

説明
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第100話です。
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