新ビーストテイマー・ナタ118
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ピーターはナタにゴシゴシ洗われて、泡まみれになりながら、ため息を漏らします。

 

「あいつ、誰かを殺す事に何の躊躇いもないんだ…。オイラも殺されかけたからな」

 

「アークがピーターを殺そうとしたの?」

 

「ああ、あれは本気で殺そうとしてる奴の目だった…」

 

「アークが人間になった日からなんか変なの。天使の頃は邪悪な波動は全く出てなかったんだけど…」

 

「今も心眼で覗いてやがるからな。オイラがナタにちょっかい出そうもんなら、殺しに来るかも知れねぇ」

 

「心眼ってお風呂の中まで見えるの?アークのエッチ」

 

「心眼は魂だけが見えるってやつさ?ナタの目の前では流石に殺さないだろう。ただ、いつ殺されるかわからねぇから、常に警戒はしてる」

 

お風呂から上がると、ナタは分厚い魔導書を本棚からたくさん引っ張り出して来ました。

 

「ピーターの呪いは今、解いてあげるからね。えっと苦痛を与える呪いは…と」

 

「うーん、あとご主人様の望みがわかる呪いもかけてあるんだよなぁ」

 

「ご主人様の望みがわかる呪い?そんな呪いもあるんだ。知らなかった!」

 

「ゲイザーの奴の望みがわかる。しかもそれには逆らえない…。逆らうと苦痛を与えられる」

 

「なんかすごく複雑な呪いっぽいね…。この本に載ってないかも?そんな呪い記憶にないし」

 

「まあゲイザーの望みってのが、ナタが幸せになるように…ってのだから、オイラは困らなかったが、他のご主人様だったら…って考えるとゾッとする」

 

「おじさん、そんなこと望んでたんだ…」

 

「ああ、ゲイザーは自分のことは何も望んでない。全部、他人の幸せばかり望んでるよ」

 

「やっぱりおじさんは勇者の素質を持つ者だから、他人の幸せしか望まないんだね」

 

「ナタの望みはどんな事だい?」

 

「私の望みは多分、誰からも好かれる良い子になりたい…かな」

 

「ナタは好かれてるだろ?」

 

「私、一生懸命良い子になろうとしてるのに、なんでか嫌われちゃうんだよ…」

 

「まあゲイザーも似たようなもんだ。どうすれば世界を救えるのかを考えてるようだが、ゲイザーが何かをすれば誰かが犠牲になるんだよ」

 

「おじさんは誰も犠牲にしてないと思うよ?」

 

「この前、金持ちの税金を少しだけ上げて貧乏な奴らの為に使ったら、税金を上げられた金持ちの奴らが怒ってただろ?」

 

「うーん、それは仕方ないと思うんだけど…」

 

「そう言う事なんだ。誰かを助けたら誰かに嫌われちまう。誰からも好かれるなんて不可能なのさ?」

 

…つづく

説明
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第118話です。
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