新ビーストテイマー・ナタ138
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アークはなりふり構わず、土下座して頼みました。

 

「お願いです!ナタがアカデミーを卒業するまで、僕を…ナタのそばに…いさせてください」

 

「仕方がありませんね。家に置いてやるのは無理ですが、ナターシャのそばにいる為に一つだけ条件があります」

 

「どんな条件ですか?まさか僕に反対派のスパイをしろ!とでも言うんじゃ…」

 

「そんな卑怯な真似はしませんよ?」

 

「僕はあなたの秘密を反対派に漏らしたりしません。もちろん反対派の情報もあなたには一切漏らさない」

 

「家の中には一歩も入れる事は出来ませんが、ビーストカードに封じた状態でナターシャのそばにいる事は許可します。家の中で決して召喚してはならない、と言う誓約書をナターシャにも書かせますが、それでもよろしいですか?」

 

「なるほど、ビーストカードに封じられた状態ではスパイは出来ない。考えましたね?」

 

「これ以上の条件は一切飲めません。これが私の精一杯の優しさですよ?家から一歩出れば召喚しても構いませんので、デートでも何でも自由にしてください。私とあなたが敵同士でもナターシャには関係ありませんからね」

 

「わかりました。その条件を飲みます。敵に対する、懐の深いご慈悲に感謝します」

 

ナタを執務室に呼び付けるとビーストカードの入った宝石箱をゲイザーは手渡しました。

 

「お前がこの箱をほとんど開けないから埃がかむっているぞ?」

 

「えーっ!わざわざカードに封印するの面倒くさいしー。別に使わなくて良いじゃん?」

 

「アーク殿をこの中に封印しなさい」

 

「なんで?アークを封印しなきゃならないの」

 

「それと、この誓約書を読んでここにサインするんだ」

 

「何、これ…。なんでこんな事するの?」

 

「アーク殿は私とディベートで対決する事が決まった。カードの中にいれば、私の話は聞こえない。スパイする事が出来なくなる」

 

「アークがスパイとかするわけないじゃん?」

 

「形式上のものだよ?アーク殿もこの条件に納得している」

 

「ふーん、よくわかんないけど大人の都合ってやつ?」

 

「まあ平たく言えばそう言う事だな」

 

「わかったー。アークを封印するー」

 

ナタが呪文を詠唱すると議員の黒服を着たアークがカードに浮かび上がりました。ナタはカードに指を置いてディテールを確認します。

 

「あれ?アークの名前のところが…、堕天使ルシファーになってる!」

 

「これは…!戦闘力が…桁外れじゃないか?」

 

「うん。多分、私の持ってる中でこれが一番強いカードかも?」

 

「私は一番敵に回したくない者を、敵に回してしまったようだ」

 

…つづく

説明
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第138話です。
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