裏ビーストテイマー・ナタ15
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ゲイザーが帰ってこないので、フラウは一睡もせずに待っていました。朝になって玄関のドアを叩く音がしたので、慌ててドアを開けます。

 

「あ、あなたは!この前の天使…。ゲイザー様はどうなったのです?」

 

「ギルバート様の命により、テオドール様が首をはねました。ロレイン様はまだ城の前で晒し者にされています。ゲイザー様の首と共に…」

 

「そ、そんな!ゲイザー様が…殺された…ですって?」

 

そこへ、ナタが二階から降りて来ました。

 

「お姉さん、天使様、おはよー!おじさんは帰って来たのー?」

 

「ナターシャちゃん。ゲイザー様は…死んでしまわれたの」

 

「えっ、おじさんは勇者だから死ぬわけないじゃん!勇者は絶対に悪者に負けないんだよ?」

 

「残念ですが、勇者でも死ぬ時は死にます。悪者がのさばらないように、天界は見張っていますが、余程の事がない限り、人間界に干渉はして来ません」

 

「天使様ならおじさんを生き還らせられるんじゃないの?」

 

「私は下っ端の天使なので、そんな権限はないです。ただ天界に勇者の功績を伝えて、セラフィム以上の者が判断を下します。その場合、稀に勇者を生き還らせる事も前例にありました」

 

「私はどうしたら良いの?おじさんを生き還らせたいよ…」

 

「そんな事が出来るのなら、私だって何でもします!お願いします、天使様…」

 

「前にも言いましたが、私は悪いビーストテイマーに囚われの身なので、このままでは天界に勇者の功績を報告する事も出来ません。どうか私を助けてください!オズワルドとギルバートの二人を倒す為に手を貸して欲しいのです…」

 

アークは一つだけ嘘をついていました。神通力でミカエルに報告する事は可能だったのです。しかしナタはそんな事を知りません。

 

「わかった!天使様を助けるよー。お姉さんも手伝ってくれるよね?」

 

「ゲイザー様の仇は必ず撃ちます!そしてゲイザー様を生き還らせます…」

 

その日の晩、ナタとフラウとアークの三人はアラヴェスタ城の前まで来ていました。

 

「見張りは少ないですね。背後から襲いましょう」

 

フラウが見張りの騎士団員に襲いかかり、気絶させました。フラウはロレインの縄を解くと、隣に置かれていたゲイザーの首を大事そうに胸に抱えてマルヴェールへ持ち帰りました。

 

「ゲイザー様…、ううっ…こんなお姿に…。ギルバートとテオドールの二人だけは、絶対に許せない!」

 

「おじさん、痛かったよね?首を切られちゃって可哀想…」

 

「ゲイザーはオレのマブダチだったのに…。こんなひでぇ事するなんてオレも許せねぇよ?」

 

「うむ、今まで人間の悪行に対して目を瞑っておったが、愛娘の婿殿をこんな無残な姿にされては、わしも黙っておれんわ!」

 

マルヴェールの幹部は口を揃えて、アラヴェスタ王国と戦うと言う意見で満場一致しました。

 

…つづく

説明
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第15話。
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