裏ビーストテイマー・ナタ18
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その日の夜、フラウはゲイザーの首を布で包んで、抱き締めて泣きながら寝ました。ロレインもゲイザー邸に連れて来ており、ロレインはナタの部屋で一緒に寝ていたようです。

 

「あなたがゲイザーのお嫁さんなのね?」

 

「はい、お母様。初めてお会いしたのが、このような形になって残念です」

 

「こんな素敵な家に住んでいたなんて、あの子ったらちっとも連絡をくれないし、傭兵になってからはこちらから便りを出す事も出来なくて困っていたのよ」

 

「マルヴェールの場所は人間に漏らしてはいけない決まりになっていて、今は私が女王となってここに住みたいと言う人間は移住できるようになっていますが、少し前までは人間が住む事を許されませんでした」

 

「それでここの住所を知らせる事が出来なかったのね」

 

「お母様にお会い出来て嬉しいです」

 

「私もあなたに会えて嬉しかったわ」

 

朝になって城の前で倒れている騎士団員が発見され、晒し者にしていたはずのロレインの姿が忽然と消えていたので、ギルバートは焦っていました。

 

「オズワルドはいるか?アークを貸してくれ」

 

「またか?あれはわしの使い魔だぞ!ギルバート」

 

「一億で買い取るから、アークのカードを譲ってくれないか?」

 

「そんな値段で譲れるか!三億なら考えても良いがな」

 

「二億で買ったと言っていただろう?なぜ三億も出さねばならないんだ…」

 

「嫌なら自分で闇市に行って探してこい!ここまでステータスの高いカードは滅多に出ておらんわ。一億で譲るバカがいると思うか?」

 

オズワルドは鎧を着た天使の描かれたカードをヒラヒラさせながら言いました。

 

「そんなに優秀な使い魔だったとは…。一億で買えると思っていたのが甘かったか」

 

「まあ、アークは戦闘になればちゃんと戦うからな。それ以外で口ごたえするのだけなんとかならんものか…」

 

アークを貸してもらえなかったので、マルヴェールへ偵察に行かせるのは諦めて、ギルバートは一人であれこれと考えを巡らせていました。

 

「敵襲です!獣人が…大勢で攻めて来ました」

 

「やはり来たか…。嫌な予感がしていたんだ」

 

「現在、交戦中ですが敵の勢いが凄まじく、押されている、との事です!」

 

…つづく

説明
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第18話。
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