裏ビーストテイマー・ナタ20
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二人の女は涙を流しながら言い争いを続けていました。

 

「あなたは間違っている!自分が夫を殺されて苦しんだからって、なぜ私の恋人を奪う事を正当化してるんですか?」

 

「別に正当化などしていませんよ?あなたの恋人は私の夫を殺したから私はあなたの恋人を殺したくなりました。今、あなたが私を殺したいと思っているのと同じです」

 

「それは違うわ!テオは何も悪くないのに殺された。私とあなたを一緒にしないで」

 

「私の夫も何も悪くないのに殺されましたよ」

 

「話にならないわ…。あなた、美人だけど本当に酷い女よ」

 

「あなたも相当酷い女です。自分は恋人を殺された事を絶対に許さないけど、私が夫を殺されて許さないと言う気持ちは理解しないし、自分だけが可哀想って思ってるのでしょう?」

 

「それは…違う!私の方があなたより苦しんでるわ!だってあなたは…テオを殺して満足してるもの」

 

「満足なんかしていません。あの男を殺しても夫は帰ってこないから」

 

「だったらなんでテオを殺したのよ?あなたと同じ苦しみを私に味わわせたかったの?」

 

「そうよ?あなたにも私と同じ苦しみを味わって欲しかった。あなただけが幸せになるなんて許せない!」

 

「なんて醜い心なの!あなたは悪魔よ?」

 

「今のあなたの姿も悪魔そのものですよ?自分は心が綺麗だとでも言うつもりですか?」

 

「今テオが生きてここにいたら…あなたを許せって私に言うわ。あの人はそう言う人なの!」

 

「ゲイザー様が生きていてもこう言ったでしょう。テオドールを殺してはいけない。恋人が悲しむから…と。あのお方はそう言う人でした」

 

「なぜ二人とも死ななければならなかったの?あなたの夫も私の恋人も死ななくても良い人だったのに…」

 

ナタはユリアーノに頼んでオズワルド殺害に手を貸してもらい、晴れて自由の身になったアークが墓地に佇んでいました。

 

「死んだ後も女たちに愛されているとは…。この二人は幸せな男たちですね…。毎日花が絶えません」

 

城の前にたくさんの墓石が建てられて、ゲイザーとテオドールの名前の刻まれた墓石が、隣同士に並べられています。

 

「それに比べてギルバートと元国王の墓には誰も花を供えに来ませんが…」

 

「誰からも愛されずに亡くなるのが一番悲しい事じゃよ?」

 

…つづく

説明
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第20話。
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