裏ビーストテイマー・ナタ27 |
ロレインはクスッと笑いました。
「でも、ありがとうね。天使さんのおかげで少し哀しみが和らいだわ」
「フラウ様は心の傷が深すぎて、私が触れただけで嫌がっておられましたが…」
「私よりフラウさんの方が心配ね。ほって置くとあの子の跡を追って自殺してしまうんじゃないかしら…」
「私もそれを心配していたのです。しばらく監視しようと思います。何かあればお救いしますので、ロレイン様も安心なさって良いですよ」
「天使さんが付いていれば大丈夫ね。フラウさんを守ってあげて。あの子の代わりに…」
「ゲイザー様の代わりになりたかったのですが、どうやら私では役不足のようです。あの様子ですと未亡人になっても、再婚されずにゲイザー様の事を想い続けるのではないかと…」
「フラウさんはまだ若いから良い人が見つかれば再婚して欲しいのだけど。あの子もきっと天国でそれを願ってるわ」
「ゲイザー様はおそらく天界逝き確定ですが、フラウ様がもし自殺をされた場合、問答無用で地獄に堕ちますので、ゲイザー様にお会いする事は出来なくなると思います。ロレイン様も亡くなれば天界逝きだと思いますので、安心して天寿を全うしてくださいね」
「いつかゲイザーに会える日が来るのね。天国って楽しい場所なの?」
「天使の私から見るとつまらない場所ですが、人間は死ぬと天使のように食欲や睡眠欲などもなくなりますので、全ての苦痛から解放されます。食事はありますが、好きな時に好きなだけ食べられる感じですね。天使もたまに一緒に食べたりしますよ」
「まあ!ご馳走が食べ放題でこんな素敵な天使が接待してくれるの?」
「人間の通っている酒場より料理の味も良いですし、バニーガールよりお綺麗な天使が大勢いますね」
「早く天国に行ってみたいわぁ」
「だからと言って自殺すると地獄堕ち確定ですので、早まってはダメですよ?」
「ふふ、冗談よ」
「縁起でもない事を言わないでくださいよ。冷や汗が出ました」
「あなたと話してると楽しいわぁ。ゲオルグには悪いけど若い男の人にハグしてもらえて、年甲斐もなくちょっとドキドキしちゃってたの」
「ゲオルグ様と言うのは…どちら様なのでしょうか?」
「私の夫でゲイザーの父親ですよ。女心がわからなくてデリカシーがないところが、ゲオルグとゲイザーはそっくりなんです」
…つづく
説明 | ||
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第27話。 | ||
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