裏ビーストテイマー・ナタ29 |
突然フラウが家を飛び出しました。猛スピードでマルヴェールの国境を超えて、森を駆け抜けてアラヴェスタの教会まで辿り着きます。
「ゲイザー様…。今、おそばに参ります」
そのまま高い崖から身を投げてしまいました。アークが空から急降下してフラウを抱き止めます。
「パラレルワールドのことを話したら、こうなると思っていました…。だから最初に話さなかったのです」
「離して!死なせてください…」
「話を聞いてください!自殺したらそれこそ永遠にゲイザー様には会えなくなりますよ?自殺は天界の法律では最も重い罪となるからです」
「それは…どう言う事ですか?」
「ゲイザー様は地獄には堕ちていないからですよ?あなたをこのまま死なせたら地獄堕ち確定ですが、それでも死にたいですか?」
「確かに…そうですね。ゲイザー様は天国におられるに決まってるのに、浅はかな事をしました」
フラウが冷静になったので、そのままお姫様抱っこで、マルヴェールに連れ帰りました。
「フラウさんが無事で良かったわ。もう死のうなんて考えないでね。あの子が悲しむから…」
「お母様、すみません…。私、天寿を全うするまで生きて、いつかゲイザー様に会える日まで我慢します」
「ナタも良い子にしてたら、死んだ後におじさんに会えるの?」
「そうね、必ず会えるわ。だから良い子にしましょう」
ロレインはナタの頭をなでなでしました。ゲイザーは生前に税金の無駄削減と言って自分の給料をかなり減額しており、他の幹部の半分ほどしかもらっていませんでした。フラウもそれに従っていたので、ゲイザーの死後に生活が一気に苦しくなりました。アーク以外のメイドは解雇にします。
「私が一人でも他のメイド九人分の仕事をこなせますので、なんとかなるでしょう」
「でもアークだけだと大変じゃない?ナタもお手伝いするよー」
「ナターシャ様は本当にお優しいお方ですね」
「まさか一国を治める女王がこんな慎ましい生活をされているなんて、国民は誰も知らないでしょうね…」
「ゲイザー様もご自分の収入まで公表なさってませんでしたし、私もこのままゲイザー様の遺志を継ごうと思っているのです」
「えっ、ナタのお家って貧乏だったの?他のみんなから、お金持ちで羨ましーい!って言われてたのに…」
「家は豪邸ですからね。食事も安くても美味しいものを作るように心がけています」
「うん、アークの料理めっちゃ美味しー」
…つづく
説明 | ||
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第29話。 | ||
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