裏ビーストテイマー・ナタ32
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ナタは今にも泣きそうな顔をしながら、震える声で話し続けています。

 

「私…すごく傷付いてたんだよ?アークがおばさまとしたってわかった日…。私はまだ十二だったけど…。使い魔がそうゆう事してる時…主人はすぐわかっちゃうの!」

 

「そんな事がわかるとは…。なんと言えば良いのやら…。私はただフラウ様が…苦しんでおられたので…ラクにして差し上げたかっただけなんです」

 

「感覚共有の呪いだったかな…。これは外してないの…。使い魔が痛い思いしててもわかるからね…」

 

「なるほど、お優しいナターシャ様らしいですね」

 

「だから私…六歳なのに経験豊富な大人の女性みたいに…エッチする時の気分とか…わかってたんだからね!」

 

「それは…えっと…随分とおませな女の子だったのですね」

 

「おじさんが死んでからは…しばらくなくなってたんだけど…十二の時に夜寝てたら…その感覚が来て…夜中に目が覚めて…」

 

「申し訳ありません!感覚共有の呪いは他のビーストテイマーはかけていなかったような気がします」

 

「痛いのとか苦しいのとか伝わって来ちゃうからね…。でもお師匠様にお願いして…わざとそれだけは外さなかったの…」

 

「使い魔のピンチを知る為ですか?」

 

「うん…。ピーターがスライムで溺れてた時の苦しさも…おじさんが首を切られた時の苦しさも共有してた…」

 

「六歳の女の子に耐えられるものではなかったでしょう?なぜそんな呪い、外そうと思わなかったのですか?」

 

「だって…私の知らないところで使い魔が死んじゃったら嫌じゃん!」

 

「そんな風に使い魔の安否を考えられるビーストテイマーはナターシャ様だけです」

 

「その時はね…私、眠くてウトウトしてて…首が切られて…景色が遠くに飛んで行くのも見えたんだ…。怖くて目を覚ましたら…おじさんが死んじゃったって聞かされたんだよ」

 

「ショッキングな映像ですね。トラウマになっていませんか?」

 

「でもその時は痛いって言うのがあんまりわかんなかったの…。痛いのかどうかもわかんなくて、はっ!と目が覚めたから…」

 

「もうそれ以上、思い出さないでください…」

 

アークはナタを優しく抱き締めました。ナタはガタガタ震えています。

 

…つづく

説明
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第32話。
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