裏ビーストテイマー・ナタ39 |
今まで気丈に振る舞っていたフラウが涙を見せました。ゲイザーが亡くなった後、しばらくすると涙を流さなくなっていたのです。
「そうですか…。全く気付きませんでした。でも、もう手遅れです。婚姻届けを提出して来たので、既に受理されていると思われます」
「鈍いところまでゲイザー様にそっくり…。変なところだけ似過ぎてて嫌になって来るわ!」
「三年前に私に好意を持っていてくださったのなら、なぜその時に言ってくださらなかったのですか?もし三年前に気持ちを打ち明けてくれていたら、私はあなたに鍵を使ってしまったかもしれない」
「言えるわけないでしょ?あなたは私が冷たくすればするほどそこが好きだと言っていたわ。もし私があなたを好きだといえば、離れて行くんじゃないかと思ったのよ」
「確かに私はしつこく言い寄って来る女性は嫌いですね…。しかし何度も言っていたようにあなたは私の好みのタイプでした」
「そんなのただの口説き文句としてだと思っていたのよ。本気で愛されてると思ったことなんてなかったわ!」
「良い事を教えて差し上げます。天使が翼を触られても怒らないのは好意がある相手に対してだけです。私があなたに翼を触られて怒った事が一度でもありましたか?」
「アークは怒らないでしょ?怒ったところなんて、一度も見た事ないわ…」
「他の女性が翼を無闇に触れば怒りますよ?翼は天使の性感帯ですので、嫌いな相手に触られると不快感を覚えます」
「そんな事…、知らなかったから…。私に翼を触られて嫌だったの?」
「嫌ではなかったです」
「それって…もしかしてアークも私が好きだったの?」
「何度もそう申し上げていたはずなんですが、嫌いだと仰るのでフラウ様の事は諦めました」
「どうして婚約なんかしたの?取り消してちょうだい」
「それは出来ません。私はナターシャ様に鍵を使ってしまいました。ナターシャ様のお腹の中に私の子がいるかもしれないのです」
「ゲイザー様以外に、こんなに誰かを好きになれるなんて、あの頃は思ってなかったの…。あなたに酷い事を言ってしまう度に後悔してた。もっと早く素直になれば良かった…」
「明日この家を出て行きます。私はもうそばにいない方が良いと思います」
「行かないで…。愛してるの…」
フラウに縋り付かれてどうする事も出来ず、ただ抱き締めてあげるだけでした。
…つづく
説明 | ||
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第39話。 | ||
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