裏ビーストテイマー・ナタ41
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抱きついたまま離れようとしないフラウに、アークは意を決して本当の事を話し始めました。

 

「フラれたのにあなたの事、嫌いになれない。ゲイザー様にフラれた時も、どうしても諦めきれなくて、嫌われるかもしれないのに、しつこく付きまとったりして、あの頃と今の私は何も成長してないわ」

 

「私もフラウ様に嫌われるかも知れなくて、言えなかった事があるのです」

 

「私に嫌われる事?今の私は何を聞いてもあなたを嫌いになる事はないと思うわ。ゲイザー様も私に嫌われようと、色々ご自分の欠点を話してくださったけど、聞けば聞くほど余計にゲイザー様を愛おしく感じたの」

 

「ゲイザー様がテオドールに首をはねられた時に私は助ける事が出来たにも関わらず、わざと見ているだけで何もしなかったのです。その理由は未亡人になったあなたを口説き落とせるかどうか試したかった…」

 

「そう…。最初から私の事が目当てでやった事だったの?」

 

「ええ、ギルバートの命令でやった事ではありましたが、何も策を思いつかないテオドールの代わりに手紙の文面を考えて、ゲイザー様をおびき出して、死に追いやった黒幕は私です…」

 

「ふふ、あなたと私はまるでライオンみたい。ライオンのオスは気に入ったメスのいるつがいを見つけると、そのオスを殺してメスを奪うそうよ。ライオンのメスは愛するオスを殺したオスと交尾をするの。より強いオスの遺伝子を求めてね」

 

「メスは強いオスの遺伝子を欲しがりますからね。人間の場合、容姿にこだわるのは容姿が良ければ得をする事が多いからでしょう。容姿の美しさを求めて遺伝子を欲しがる為、人間の女性たちは私を求めるのだと思います」

 

「あなたはナルシストだけど、それだけの努力はしているし、本音を言うと初めて会った時、少しキュンとしてしまったの。顔は好みのタイプだったわ」

 

「好みの女性を堕とせる要素としてルックスも必要不可欠ではあるので、このルックスには感謝しております。まあ天使は道楽で作られた者も多数いるので、私のような理想の天使を作ってミカエル様は遊んでいたのかも知れません」

 

「それはどう言う意味?人間の私には理解に苦しむわ」

 

「天使は子供を産む際に容姿や性格などのカスタマイズが自由に可能なのですが、ミカエル様の腹から産まれた私はミカエル様の好みの容姿と性格にカスタマイズされているのです」

 

「うーん、天使は着せ替え人形みたいなものなのかしら?人形師のいるお店で頼んで好きなヘアスタイルや目のガラス玉などを選んで決められる…みたいな」

 

「人形師の仕事がよくわかりませんが、多分それと似たようなものですね。私はミカエル様の操り人形なので」

 

「私も昔、自分そっくりの人形を作ってもらった事があったの」

 

「と言うことは、黒い肌と白い髪と赤い目の人形ですか?」

 

「ええ、お気に入りでずっと遊んでいたわ。小さな私と…」

 

「フラウ様に似ているなら、きっと可愛いらしい人形だったのでしょうね」

 

…つづく

説明
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第41話。
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