裏ビーストテイマー・ナタ61
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夜になってアークはリズの部屋を訪ねました。

 

「サルが寝てるから外で話しましょう?」

 

「ええ、店を予約してあります」

 

二人は寄り添って、夜の街にやって来ました。

 

「夕方、料理を持って来てくれたんでしょ?」

 

「ああ、誰か来ていたようなのでベランダに置いておきました」

 

「話を聞かれてしまったのね…」

 

「あなたを説得する為に呼び出したんです。レジスタンスから離脱してください。フラウ様はあなたが思っているような人ではないです。被害者遺族の為に色々と法案を…」

 

「それ以上、聞きたくないわ!」

 

「なぜあんな連中に手を貸したりしたんです?あなたは利用されているだけだ」

 

「ルシファーは私の味方だと思ったのに、フラウの味方をするのね?」

 

「あなたは恨む相手を間違えているんです。本当に悪いのは誰なのか、よく考えてください」

 

「完全に騙されてたわ。あなたみたいに若くて素敵な人が、私みたいなおばさんを相手にするわけがないと思っていたのよ!」

 

リズは怒って店を飛び出してしまいました。アークは慌ててお勘定を済ませて追いかけます。

 

「お釣りはいりません。くっ!領収書切ってる暇がない。経費で落ちないじゃないか…」

 

イライラしながら、リズの手首を掴んで引き留めます。薄暗がりの路地裏に連れ込みました。

 

「落ち着いて僕の話を聞いてください!」

 

「聞きたくないって言ってるでしょ?離してちょうだい!」

 

アークがリズの唇を無理やり奪うと、リズは体の力が抜けて行きます。

 

「宿屋に行きましょう。付いて来てください」

 

リズは大人しく付いて来ました。アークはリズを優しく抱き締めて諭すように語りかけます。

 

「フラウ様は僕よりも腕力が強いです。素早さも僕とほぼ互角でした。あなたに勝てるような相手ではありません…」

 

「そんな事わかってるわよ!刺し違えてでも良いから、一矢報いたかったの。だから…」

 

アークにキスされて唇を塞がれたのでリズは黙ります。

 

「落ち着いて考えてください。あなたがいくらフラウ様の悪口を言っても、フラウ様はなぜあなたに手を出さなかったのかわかりますか?」

 

「それは…罪悪感からでしょ?私の夫を殺したって言う!許せない…」

 

喚き散らそうとするリズにまたキスして黙らせました。

 

「ゲイザー様を殺されて獣人たちは怒りに我を忘れていました。フラウ様が殺さなくても他の獣人がテオドール様を殺していたと思います。では、なぜフラウ様がわざわざ自分の手を汚してまで、テオドール様を殺したのか?フラウ様はテオドール様を殺すまで人を殺した事などなかったのです…」

 

「そんな事!夫を殺したテオドールが憎くて殺して復讐してスッキリする為だったんでしょ?私はあの女を殺さない限り、ずっとモヤモヤしたままなのよ…」

 

…つづく

説明
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第61話。
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