アークはまずリズを刺した男を血祭りに上げました。男の左胸を右手で貫いて、心臓を鷲掴みにしています。男の胸から血飛沫が吹き出て、アークは全身に返り血を浴びて髪も服も翼も真っ赤に染まってゆきました。

「ヒ、ヒィーッ！ゆ、許してくれ…。い、命だけは助けて…お願いだ」

「今日の僕は非常に機嫌が悪い。全員皆殺しにしてやる…」

逃げ惑うレジスタンスたちを、次々に瞬殺してゆきました。サルバドールはガタガタ震えながら瞬きも忘れて、その様子を見ています。

「リズさん、今から病院に連れて行きます。しっかりしてください…」

「わ、私は…もう…ダメみたい」

アークはリズの縛られている椅子に近づくと縄を手刀で切断しました。

「大丈夫、なるべく動かさないようにゆっくり飛びますから、ナイフを抜かなければ出血は抑えられます」

「ううん…体が寒くて…多分、あと少しで…死ぬわ」

リズの体を慎重に抱き抱えました。

「ママー！嫌だ…。死なないで？」

「ルシファー、最後の…お願いが…あるの」

「何ですか？僕に出来る事なら…」

「最後に…キスして…ルシファー」

アークはサルバドールの方をチラッと見ましたが、サルバドールはガクガク震えて泣きじゃくっています。

「ママにキスしても良いかな？」

「ううっ…えっぐ！ママ…」

「お願い…ルシファー」

リズは今にも消え入りそうな声で呟きます。アークはリズの手を握って呼びかけました。

「死んではいけない。気をしっかり持つんだ」

「お兄さん、本当に良い人だったんだ…」

「僕は良い人ではないよ？」

「ママにキスしてあげて…」

「わかった」

アークがキスするとリズは満足したように息を引き取りました。

…つづく