裏ビーストテイマー・ナタ70
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サルバドールが一言も口を聞いてくれないのでナタはどうしたものかと悩んでいました。

 

「うーん、どうしたら喋るようになるのかな?アークにもちっとも懐かないし」

 

「私が近付くと逃げられますからね…。レジスタンスを殺すところを見ていたので、私の事を怖がっているのでしょうか」

 

「私はその程度の事でお師匠様の事は怖がらなかったけどなぁ」

 

「ナターシャ様が特殊なのです。普通の子供は殺人現場を目撃するとこうなりますよ?」

 

「そっかぁ。私が普通の子供じゃなかったから平気だったと言うだけなのね…」

 

「そういう意味で言ったわけでは…」

 

「じゃあどう言う意味よ?」

 

「ナターシャ様の精神力がとりわけお強いと言う意味です」

 

「私が普通じゃないのはわかってたから、別に普通じゃないって言われても平気だよ?」

 

アークが仕事でいない時に、ナタはサルバドールに文字を教えて筆談で話せるようになりました。

 

「とりあえずアラヴェスタで使われてる文字とマルヴェールで使われてる文字は覚えておいた方が良いよ」

 

一日で覚えてしまったアラヴェスタ語で、サルバドールは紙に言いたい事を書きます。ナタがそれを読み上げました。

 

「お姉さんは優しいけど、翼のあるお兄さんは怖い…か。アークは怖くないんだけどね」

 

サルバドールはまた紙に文字を書きます。

 

「何々…ママは翼のお兄さんをルシファーと呼んでたけど、お姉さんはなぜアークと呼ぶの?アークは芸名じゃないの?って…ルシファーは伝説の魔王の名前じゃない」

 

サルバドールが更に続けて文字を書きました。

 

「僕も絵本で読んだから魔王の名前は知ってたけど、同じ名前だからなんとなく怖かった…って、これはどう言う事なの?アークに聞いてみなきゃ」

 

ところがサルバドールの筆談は終わりません。

 

「僕も殺されるの?伝説の魔王は人間をたくさん殺したって絵本に書いてあった。ママの事を助けてくれたけど、レジスタンスは全員殺された…か。そうだよね、確かにあれはやり過ぎだったと思うわ?」

 

サルバドールは筆談の紙を細かく破いてゴミ箱に捨ててしまいました。アークが帰宅してナタはアークに直接、その事を尋ねてみる事にします。

 

「実は私もちょっと…アークの事が怖くなって来たの」

 

「ナターシャ様も…ですか?なぜでしょう?」

 

「アークは他の使い魔と違って考えてる事が複雑だから言霊が読み取れない事が多くて、まあそれはおじさんも同じだったんだけど…」

 

「ゲイザー様の思考は私にも読み取れませんでした。心眼でも読み取れないポーカーフェイスの持ち主ですよ」

 

「アークの気持ちが私にはよくわからないんだよね。他の使い魔の気持ちならわかるのに…」

 

「フラウ様の気持ちもわかっておられましたよね」

 

「フラウおばさまはものすごくわかりやすいからねー」

 

「私から見るとフラウ様の方が複雑ですが…」

 

「多分、私が女だからかも?男の人の気持ちの方がわからない」

 

…つづく

説明
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第70話。
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