裏ビーストテイマー・ナタ78
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サルバドールは一口食べただけで、ペッと皿に戻してしまいました。アークは吐き出さずに咀嚼して、平然と飲み込んでいます。作った本人のナタも口を押さえて慌てて流し台に駆け込みました。アーク以外はもう一口も食べようとしていません。

 

「めちゃくちゃまずい…。おかしいなぁ、この本のレシピ通りに作ったはずなのに」

 

「そうですか?個性的な味ですが、私は美味しいと思いますよ」

 

「お世辞はやめて…。余計に虚しくなるから」

 

「ナターシャ様の料理を初めていただいたので嬉しかったです」

 

「アークって性格が良すぎて、逆に人を傷つけるタイプよね?」

 

「私は何かナターシャ様を傷つけるような事を言ってしまいましたか?申し訳ありません…」

 

「まずいなら、正直にまずいって言ったら良いよ?気を遣って嘘つかれる方が傷つく…」

 

「本当に美味しいと感じました。このトマトベースの濃厚なソースに対してヨーグルトの酸味は、カレーでありながら不思議な事にポモドーロを彷彿とさせますね」

 

「トマトの缶詰と一緒に隠し味でヨーグルト入れてるのがわかったんだね。すごい味覚を持った舌だわ…」

 

「しかしトマトとヨーグルトは喧嘩してしまうので、素人はあまり手を出さない方がよろしい組み合わせではないかと…」

 

「そうなの?でもこのレシピに書いてあったから入れちゃった」

 

「トマトに発酵した乳製品を入れると非常に刺激的な味になるので、好みは分かれると思いますが私は好きです。サーモンとチーズも海と陸の食べ物ですから、喧嘩する場合があるのですけど、上手く味付けをすれば美味しく出来るので、一概にはその食べ合わせが悪いと言えませんが…」

 

「アークの料理は三つ星レストランのシェフ並だからなぁ。私の料理がまず過ぎて凹むわ…」

 

「まずくはありませんでした。嘘はついておりません」

 

ナタはこの日から家事を頑張るようになりました。掃除・洗濯もやってみますが、上手く行きません。

 

「家事ってやってみたら結構、重労働だわ…」

 

「お姉さん、今まで家事やった事なかったの?僕はママのお手伝いで結構やってたよー」

 

「お師匠様と一緒に暮らしてた時は使い魔がやってたし、おじさんと暮らしてた頃はメイドがやってた…。アークと暮らすようになってからはアークがやってたから、やる必要がなかったの」

 

「しょうがないなぁ。僕がやり方、教えてあげるね!」

 

…つづく

説明
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第78話。
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