裏ビーストテイマー・ナタ85
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ナタは素朴な疑問を投げかけました。

 

「どうしてアークはおじさんにそっくりな性格に変えてもらったの?」

 

「それは…ナタが僕を愛してくれるようにね」

 

「アークがなんでそんなに私にこだわるのかわかんないの…。他に可愛い子、いっぱいいるでしょ?」

 

「この世界の滅亡は何度も何度も繰り返してるんだ。僕が復活して倒されて、また復活して倒されて…。僕はその記憶を全て取り戻した。ナタの十六の誕生日の夜にね」

 

「私ね、勇者の母親になるのが小さい頃の夢だったんだ。だから勇者の波動を持った者を見つけたらお嫁さんにしてもらおうと思ってたの」

 

「このままではナタは魔王の母親になってしまうね…」

 

「うん、でもお腹の中の子に罪はないと思う。サルバドールはテオドールの息子だけど、全然恨みはないし、すごく良い子だから」

 

「僕にはそれがわからない…。僕が仮に一番愛する者の命を奪われて、その犯人の血を引いた子供がいたとしたら…愛せる自信はないよ?」

 

「母性本能をくすぐられるって言うやつなのかな?サルバドールを見た瞬間、可愛い!って思っちゃって恨む気なんか、これっぽっちも起きなかったの」

 

「ナタはテオドールが憎くはないのか?」

 

「正直に言うと憎かった…。おじさんが死んだって聞いた時、どうしようもない喪失感に襲われて、でもテオドールはフラウおばさまが殺した。それでも私の中のモヤモヤは消えなくて、何かあるたびにこんな時おじさんなら、こう言うかな?とか考えてる自分がいたの」

 

「死んだ後もあなたに愛され続けるゲイザーが憎い…。生かしておけば叩きのめす事も出来たのに…。やり直せるならゲイザーの生きてる世界で勝負を挑みたい…」

 

「このうさ耳買った時も本当はおじさんに見せたかったの…。おじさんはこれ見て、なんて言うのかな?って、私には予想できなくて…。もし生きてたら見て欲しいのは、おじさんなの」

 

「僕は何をしてもゲイザーには勝てないのか?わざとゲイザーが殺されるのを見ていたのに、あの時に助けておけばどうなっていたか?と考えていたよ」

 

「オズワルドに拷問されるんじゃない?」

 

「だろうね?だけどナタの愛を得られたなら、それだけの価値はあったと思う。あの時に戻れるならゲイザーを助けて拷問を受けるのを選ぶよ」

 

「そんな打算的な考え方では私の愛は得られないと思うよ?おじさんは自分がどう思われるかじゃなくて、相手がどう思うかを考えて行動してたから…」

 

「ナタを傷付けた奴を僕は許さない…。ナタがあっと驚くような事をしようと思ってる」

 

「何を考えているの?アーク。天界の言語は私にもわからない」

 

…つづく

説明
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第85話。
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