裏ビーストテイマー・ナタ90
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アークの街頭演説の日がやって来ました。この日の朝、アークは魔法で髪と瞳の色をゲイザーと同じ色に変えてしまいました。集まったファンたちは驚いています。

 

「えっ…あれって元凶悪犯罪者のゲイザーにそっくり」

 

「本当にアーク様なの?前の方が爽やかなイメージで良かったのに…」

 

「皆様、今日は私の為にお集まりいただき、感謝します。議員になったので黒髪に染めてイメージチェンジしてみました」

 

「真面目な印象を与えたかったのかしら?うちのお父さんがチャラチャラした男だから気に食わん!って言ってたし」

 

「きっとそうよ?黒髪でも元が良いから結構、素敵じゃない。ゲイザーもよく見たら良い男だったし」

 

アークの演説は若い女性の数が圧倒的に多く、観覧に来ていました。噴水広場は黒山の人だかりで、いつも以上に賑わっています。

 

「いじめ対策法はいじめに苦しんでる人を助けたいと言う信念の元、私が考え出した新法案でしたが、世論調査の結果は賛否両論でありました」

 

「アーク様の考えた法案にケチ付けるなんて!どうせうちのお父さんみたいなわからず屋よ?気にしないでアーク様」

 

「なんだか喋り方まで変わっちゃって、本当にアーク様なのかわかんなくなってきたわ。翼まで真っ黒に染めてるし」

 

長い演説でしたが、誰も立ち去る事なく、最後まで聞いています。他の議員の演説の時は、欠伸をしている者もいました。

 

「私はいじめのない世界が作りたいと考えています。この世からいじめをなくすのが私の使命だと思っています。大変お寒い中、長い時間立ったままで、私の話を聞いてくださり、本当にありがとうございました!」

 

「キャー!アーク様!素敵ー!頑張ってー!」

 

「議長選挙の時は絶対ルシファー様に投票します」

 

演説が終わると普段、選挙の時に興味を持たない若い女性が、役所が設置した投票箱に殺到しました。アークが帰宅すると、ナタが目を丸くしています。

 

「何よ、その髪…。なんで急に黒く染めたりしたの?」

 

「この方が有権者の心象が良くなる」

 

「おじさんの真似してるだけじゃない?」

 

「ナタは黒髪の方が好きなんじゃないかと思って」

 

「やっぱり!おじさんの真似するのはやめて」

 

「ナタに愛されたいんだ」

 

「私は黒髪が好きなんじゃなくて、おじさんが好きなの!例えハゲてても、おじさんの方が良いの!アークはアークなんだから、おじさんみたいになろうとしないで」

 

…つづく

説明
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第90話。
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