裏ビーストテイマー・ナタ91 |
フラウの執務室に従者がやって来ました。
「フラウ様、アラヴェスタ議員のルシファー様がお見えになっていますが、いかがなさいましょう?」
「ルシファー?確かアークの本名だったわね。良いわ、通してちょうだい」
黒髪のアークがドアをノックして中に入って来ました。書類から目を上げたフラウは驚いてその場に一瞬、凍りついてしまいます。
「ゲ、ゲイザー様?まさか…生き還ったの!」
「僕ですよ?そんなにゲイザー様に似ていますか」
「声は違うわね…。ビックリしたわ。ゲイザー様の声はもう少し低いのよ」
「僕はゲイザー様の事をあまり知らないから、完全にコピーする事は出来ないのだが、なるべく似せようと思ってる。声帯も少し弄って低くしようか…」
「どうしてアークはゲイザー様に似せようとしてるの?アークのままで良いじゃない…」
「フラウ様も今の容姿の方が好みなのではないのか?」
「容姿だけなら以前のアークの方が好みよ?ゲイザー様に似てたからビックリしただけ」
「おかしい…。ナタも僕が容姿を変えたら気に入らないと言っていた」
「私はゲイザー様の容姿が気に入ったから好きになったわけではないの。容姿も好きだったけど、それ以外のところが好きだったから」
「嘘だ!僕の心眼には見えていたよ?先程、僕の姿を見た時、あなたの体から恋のオーラが出ていた」
「ゲイザー様が現れたのかと思ったのよ?ごめんなさい…」
「やはりあなたの心の中にはまだゲイザー様の影があるのだな」
「完全に消えてしまったわけではないわ。お墓の前に行くと泣いてしまうから、行かなくなっただけよ?」
「墓に花が供えられなくなったから、愛が醒めたのだとばかり思っていた」
「永遠に忘れる事はないと思うわ…」
「僕はあなたの心を完全に奪えたと思っていたのに!」
「あなたに抱かれながら、ずっとゲイザー様の事を思っていたの。あなたの後ろにゲイザー様を見てた…」
…つづく
説明 | ||
本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第91話。 | ||
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