魔法で大人になった六歳のナタは恨めしそうに言いました。

「ピーターが嘘ついたって言うの？」

「ピーターは嘘をついていないが、人から聞いた話だけで鵜呑みにしてはいけないよ？自分の目で見た事だけ信じなさい」

「うーん、確かにそうだね。ピーターはあのお姉さんがおじさんを食べようとしてたって言ってたの。食べるわけないのにー」

「ピーターがそんな事を言うとは…。あのネズミには気を付けないとダメだな」

「うん、それでね。大人は裸で抱き合って赤ちゃんを作るって言ってた。だからナタもおじさんと赤ちゃん作るー！」

「ナターシャは六歳だから、赤ちゃんは作れないよ？」

「魔法で大人になったから、多分赤ちゃん作れると思うけど？」

「魔法で見た目は大人になっても、中身は六歳のままだから、子供が出来ても育てられないだろう？」

「ナタ、ちゃんと赤ちゃんのお世話、出来るもん」

「自分で自分の事も出来ないうちは子供なんか作らない方が良い。だから私はまだ子供を作らないと決めてるんだ。子供が可哀想だろう？」

「うーん、そっかぁ。わかった！ナタ、ちゃんと自分の事が出来るようになってから作るね」

十六歳のナタは溜息を漏らしました。ショーウィンドウに映る顔は、あの頃と何一つ変わっていないように見えます。

「私、まだ子供作っちゃダメっておじさんに言われそう…」

「ナタちゃーん！こんなところにいたー」

「サニーちゃん、どうしたの？」

「探しに来たんだよ！アーク様が心配してるからお家に帰ろ？」

「サニーちゃんはアークに会いに来てるんでしょ」

「違うよ？ナタちゃんと遊びに来てるの」

「だってアークの事好きって言ってたよね？」

「好きだけど…、アーク様はもうナタちゃんと結婚してるから」

…つづく