左利きの魔剣士22
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イノンドは合点がいったと言うように、掌を拳でポンと叩くポーズをしました。

 

「なるほど、ではジンジャー殿の言っていた事は本当だったのですな」

 

「ボクの事を物扱いするからムカついただけだよー?」

 

「だとしたら…ジンジャー殿が不憫です。私がジンジャー殿ならば、今頃あなたの身を案じて救い出さねばならない!と、画策している事でしょう」

 

「ジンはボクの事なんか、ちっとも大切にしてくれないよー?」

 

「ああ、神よ…。私はどうすれば良いのです?命の恩人のチャービル卿は裏切れないが、この妖精が命を落とせば、ジンジャー殿が傷付く事になる」

 

「あいつはボクが死んでも涙一つ、こぼさないと思うけどー?」

 

イノンドは鳥籠の留め金を外すとルリを出してあげました。ルリは鳥籠から出てもイノンドの方をじっと見ています。

 

「この窓からお逃げなさい」

 

「でもボクが逃げたりしたら…おじさん、あのおじいちゃんに叱られたりしない?」

 

「折檻を受けるでしょう。五十万は私が働いて返すと言って許してもらいます」

 

「えーっ!そんなのおじさんが可哀想だよ…」

 

「妖精殿は心が優しいですなぁ」

 

「優しいのはおじさんの方でしょ!クレス先生より良い人に初めて会ったよ?」

 

ルリはイノンドの事が大好きになってしまいました。逃げる事も出来ずに窓の前でイノンドと別れを惜しんでいます。

 

「ん?あれはジンジャー殿ではありませんか」

 

「あっ、本当だ!よくここがわかったね」

 

「おそらく、道に残った車輪の跡を追いかけて来たのでしょう」

 

「へぇ、筋肉バカの割にはやるじゃん?」

 

「彼は左利きのようでしたが、どうも本気を出していないと感じました。なぜでしょうか?」

 

「あいつは右利きだよ?なんでか左手しか使わないんだよねー」

 

…つづく

説明
昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第22話です。
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