左利きの魔剣士23
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ルリが窓から逃げようとしないので、イノンドはルリを懐に入れると、別荘の玄関に向かいました。別荘の外ではジンがどうやって中に侵入しようか悩んでいます。

 

「おっ、出て来たな!さっきの決着を付けてやるよ?」

 

今度は右手で剣を構えます。剣が炎を纏いました。

 

「ジンジャー殿は魔剣士だったとは!やはり先程は本気を出していなかったのですね?」

 

「殺しちまったらごめんよ?おっさん、強ぇから左手じゃ勝てそうにないんでね!」

 

イノンドが剣を構えるとジンジャーは炎の剣を振り上げました。イノンドはそれを剣で受け止めます。

 

「なんと重い一撃!先程とはまるで違う」

 

「くっ!俺が右手で剣を持って、一撃でやられなかったのは、おっさんが初めてだぜ?」

 

「なぜ右利きなのに左手で剣を持っていたのです?私は舐められていたのか…」

 

「別に舐めてたわけじゃないんだけど、おっさんを死なせたくなくて右手は使わなかったんだよ」

 

「やはりジンジャー殿は騎士道精神に則った善人であると見受けられる…」

 

「騎士道精神か…。矛盾だらけでツッコミどころ満載だからテストでツッコミを書いたら赤点にされたな」

 

「ふむ、頭も切れると見た。あなたなら私のパートナーとして相応しい!」

 

「パートナー?何を言ってるんだ…」

 

「私と共に逃げてください」

 

「は?逃げるって…。どう言う事だ」

 

「私は妖精殿を強奪して逃亡する事に決めたからです」

 

「えっ?なんでそうなってんの…。説明しろ、ルリ!」

 

「うーん、このおじさんが超良い人で、ボクを逃してくれるみたいなんだけど、ボクが逃げたらおじさんは折檻されて五十万返さないとダメなんだ」

 

「すまん、言ってる事が難しくて俺には理解出来ない」

 

「ったく!ジンはバカだから何度説明してもどうせわかんないんでしょ?」

 

…つづく

説明
昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第23話です。
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