左利きの魔剣士32
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野宿を繰り返しながら、やっと次の街に着きました。ディル・イノンドと左利きの魔剣士の手配書が並べて貼り付けられています。

 

「なんか賞金が上がってるんだが…」

 

「捕まらず逃げ続ければ、これからどんどん賞金も上がって行くでしょうなぁ」

 

「もっとイケメンに描けよ?俺はこんな醜男じゃねぇし!」

 

「あまり似てしまうと困ると思いますが…。私の絵は似過ぎていて兜を取って歩けませんし」

 

「こりゃどう見ても悪党ヅラだな…。殺人と強盗と婦女暴行の罪って…俺はまだ一度も女とやった事ねぇよ!」

 

「おお、ジンジャー殿は経験豊富なのかと思っておりましたが、まさか私と同じく未経験だったとは…。意外です!」

 

「おっさんはその歳でまだってヤバくないか?クレスもやってなさそうだったけど」

 

「クレス殿はおいくつなのでしょうか?」

 

「クレスは確か三十八歳だったかな?俺より二十歳、年上だからさー」

 

「それなら私より二歳年上ですなぁ」

 

「えっ、クレスの方がイノンドより若く見えたぞ」

 

「老けて見られるのが悩みでした。二十代の頃から貫禄があり過ぎると言われて…」

 

とりあえず宿屋にチェックインします。またクレスの名前を記入しました。

 

「やっぱりふかふかのベッドは良いよなー。野宿だと風呂にも入れないし、体が臭くなる…」

 

「風呂に入りに行きましょう!ジンジャー殿」

 

大浴場は顔がバレるとまずいので、イノンドはシャワールームだけで済ませます。ジンは湯船に浸かって、旅の疲れを癒しました。

 

「ふぅ…良いお湯だった。極楽極楽」

 

ふかふかのベッドでゴロゴロしてると、窓際に立っていたイノンドが外の様子を警戒しています。

 

「どうしたんだ?イノンド」

 

「騎士団の者が来ているようなのです…」

 

「そんなビクビクしなくたってバレやしないって」

 

…つづく

説明
昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第32話です。
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