左利きの魔剣士39 |
ジンはエルフの涙を自分の右手の指に嵌めました。
「あっ…それはボクとイノンドさんの婚約指輪じゃないか?返せよ!ドロボー」
「さっきたくさん指輪を買ってやっただろ?それと交換だ」
「こんなガラクタいらないよ!」
「ジンジャー殿、大人げないですよ?ルリ殿に指輪を返してやってください…」
「この指輪はエルフの涙と言って、何億も価値があるんだ」
「そうだったのですか?それは五百ジェニーで買いましたが…」
「掘り出し物を見つけたな?また良い物が見つかれば買ってやるから教えてくれ…」
「誰がお前なんかに教えてやるもんか!」
ルリはご機嫌斜めで、ふくれっ面になっています。ジンは右手で剣を握り締めてみましたが、いつもなら煌々と炎が灯るのに、なんともありません。
「すごい、魔剣がコントロールできてる!これさえあれば、間違って人を殺す事もなくなる」
「ふむ。その指輪はジンジャー殿の必須装備のようですな」
「ボクだって必須装備だよ!返してよ…」
「これがないとまた人を殺しちまって、ますます俺の賞金が膨れ上がっちまう」
「ルリ殿、ジンジャー殿の為に指輪を譲ってあげてはくれませんか?」
「ううっ…イノンドさんがそう言うなら」
「左手で無理して生活しなくても良くなるなんて、もっと早くこれが欲しかったよ」
ルリは仕方なくジンにもらったガラクタの指輪で我慢する事にしました。エルフの涙と同じ赤い宝石と似たガラス玉の指輪を腕に嵌めます。
「さてと、そろそろ次の街を目指すとするか」
「この無精ヒゲのおかげで兜を取っても、私だとバレないかもしれませんね」
「イノンドさん、おヒゲが生えてもダンディーだからカッコ良いよー!」
…つづく
説明 | ||
昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第39話です。 | ||
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